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アネモメトリ -風の手帖-

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#82
2020.03

自分でつくる公共 グランドレベル=1階の試み

2 「私設公民館」喫茶ランドリー 東京・森下

「自分でつくる公共」とはどんなものだろうか。行政の力を頼らずに、公民館でもコミュニティカフェでもないかたちでそんな場をつくり出しているのが、東京都墨田区千歳にある喫茶ランドリー。ここはミシンやランドリーが使える“家事室のある喫茶店”としてだけではなく、ひとが集まる新しいタイプの場としても内外から注目されており、多くのひとが訪れる。
前回は、喫茶ランドリーを運営するグランドレベルの大西正紀さんに、喫茶ランドリーができるまでのいきさつと、喫茶ランドリーの理念や場のデザインについてお伺いした。
空間にひとが関わりやすい隙をあえて残してつくり、スタッフが声かけするコミュニケーションなどによってひとの能動性を引き出すことで、来たひとがやりたいことをできるように働きかけている。
ここで目指されているのは、誰もが居ることを許されている場。そこに行政や地域社会によらない、「自分でつくる公共」のヒントがかいま見える。
今回は、実際のスタッフの動きとお客さんがいかに喫茶ランドリーを使いこなしているかの観察と、グランドレベル代表の田中元子さんのお話をもとに、喫茶ランドリーが体現する公共性についてレポートしていく。

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洗濯機が置かれたまちの家事室のテーブルには洗濯機・乾燥機の使い方がまとめられた手づくりの本が / 誰でも集える空間ではそれぞれが好きなように時間を過ごす。フロア席の奥の家事室では、子どもの学習塾が開催されていた / 子どもたちが泊まりたいというくらい快適で大きなトイレ