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アネモメトリ -風の手帖-

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#82
2020.03

自分でつくる公共 グランドレベル=1階の試み

2 「私設公民館」喫茶ランドリー 東京・森下
2)喫茶ランドリーの1日 子どもたちとお母さんたち

小学校が終わる時間になると、ランドセルを背負った子どもたちが次々と「ただいま!」と入ってきた。スタッフのあいさつでも感じたが、ここはやはり「店」より、家に近い雰囲気がある。
この日は、ランドリーや家事道具が並ぶ「家事室」で、午後から小学生の子どもたち向けの塾が開かれる。子どもたちは全部で8人。彼らに少し遅れて、今日も塾に通う子どものお母さんたちがやってきた。元は同じ幼稚園のママ友だちで、今は学校がばらばらなので、再会を楽しみ、話をしながら塾が終わるのを待つ。小さいお子さんを連れてきている方もいる。

目を輝かせて勉強に取り組む子どもたち。若い三宅先生は教え上手だ

目を輝かせて勉強に取り組む子どもたち。若い三宅先生は教え上手だ

にぎやかにおしゃべりの花が咲くなかで、人のお母さんがミシンで縫い物を始める。飲み物を注文すれば食べ物を持ち込んでもいいので、一緒に来た小さな子どもたちはお母さんの持ってきたおやつを食べている。
子どもたちは裏紙に落書きをしたり、他の席のひとに話しかけてみたり(もちろん取材スタッフにも!)と、自由にふるまっている。お母さんたちはそれを無理に止めたりしないで、のびのびとさせている。
まちなかで子どもが騒ぐと、子どもを注意したり周りに謝ったりして肩身が狭そうなお母さんをよく見かける。ところが、ここでは子どもが騒いでもお客さんやスタッフが受け入れてくれるという安心感があるからか、お母さんたちもリラックスしてくつろいでいる。会う機会が減っても、こうやって子ども連れでも気兼ねなく居られる場所があるおかげで、つながりを持ち続けることができるようだ。

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「ただいま!」と飛び込んでくる子どもたちはいきいき、のびのびとして、塾の後は先生に連れられ、近所の公園に遊びにいった。お母さんたちも開放的で気取りなく、風通しがいい。どこか昭和のご近所さんのような空気感

「ただいま!」と飛び込んでくる子どもたちはいきいきとしていて、塾の後は先生に連れられ、近所の公園に遊びにいった。お母さんたちも開放的で気取りなく、風通しがいい。どこか昭和のご近所さんのような空気感