アートとともにひと、もの、風土の新しいかたちをさぐる

アネモメトリ -風の手帖-

特集 地域や風土のすがたを見直す、芸術の最前線

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2013.03

おもてなしの精神で広がるまち 神山

後編 ビジネスとのつながりの先に見えた、まちの未来
1)まちのひとの声でできあがっている「イン神山」
ウェブサイト「イン神山」トップページ

ウェブサイト「イン神山」トップページ

「日本の田舎をステキに変える!」をモットーに神山町で活動するNPO法人グリーンバレーのウェブサイト「イン神山」。おしつけや抽象的なメッセージを打ち出していない、親しみやすいトップページになっている。過去の写真がランダムに見えてくる「神山写真帖」は、グリーンバレーの活動や神山町での出来事アーカイブの見せ方として面白い。
「神山日記帳」は、主にひとやできごとについて、NPOのスタッフをはじめ、インターンによる学生など、多数の人間によってそのひとのことばでレポートされていくのも特徴だ。
主な事業の一つである、神山アーティスト・イン・レジデンスの情報を掲載している「神山でアート」。
「神山で暮らす」は、主に移住希望者用の物件情報だが、データではなく、どのように利用できるのかを書いた親しみやすいテキストになっている。全体を通して、デザインはなるべく排してシンプルに。

NPO法人グリーンバレー代表の大南信也さんは、ウェブサイトでの広報に関して、「ありのままを見せること」、「どこにでもあるような風景、ということをそのままを表現すること」が肝心であるという。
そして、ウェブサイトをつくるプロジェクトによって神山に住むひとたち自身がものの見方、ひとの見方を考え、神山町に関してあらためて向き合えたのは、今後の展開に際して意義深かった、とのこと。

「イン神山」は2007年の4月から制作開始。それまでアーティストに向けて情報を発信しアーティスト・イン・レジデンスの回を重ね、町の知名度も上がってきた頃に、総務省地域ICT利活用モデル事業(*)のプロジェクトとして立ち上がり、2008年6月に完成した。

サイトのディレクションはリビング・ワールド代表、働き方研究家としても知られるプランニングディレクターの西村佳哲さん。西村さんが神山に来て感じた、グリーンバレーのひとたちそのものの印象がデザインのモチーフとなっている。
「西村さんは常にニュートラルでしたね。人間って、長く同じ場所にいていたらどうしても入り込んでしまいがちになるでしょう。そこを常にちょっと離れている。文章の書き方でも参考事例でも何でもそう、彼の、自分はぶれない位置で物事をすっと見ていく、というような姿勢には影響されていると思います」と大南さん。

*総務省地域ICT利活用モデル事業
地域経済の活性化や少子高齢化への対応、地域コミュニティの再生や安心・安全の確保等、地域の具体的提案に基づき設定された課題について、ICTの利活用を通じてその解決を促進するための取組みを委託事業として実施することにより、地域のユビキタスネット化とその成果を踏まえたICT利活用の普及促進を図ることを目的としたもの。主にホームページやソーシャルネットワークサービス(SNS)の制作が行われていることが多い。