アートとともにひと、もの、風土の新しいかたちをさぐる

アネモメトリ -風の手帖-

特集 地域や風土のすがたを見直す、芸術の最前線

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2013.03

おもてなしの精神で広がるまち 神山

後編 ビジネスとのつながりの先に見えた、まちの未来
4)サテライト オフィスが動き出す
上角商店街のブルーベアオフィス内にある、株式会社ソノリテのサテライトオフィス

上角商店街のブルーベアオフィス内にある、株式会社ソノリテのサテライトオフィス

Sansan株式会社のサテライトオフィスにて。外にはハンモックも!

Sansan株式会社のサテライトオフィスにて。外にはハンモックも!

徳島県では、2010年のテレビ放送の地デジ化への移行の際、県内全域に光ファイバー網が敷かれるという「地の利」も、神山に追い風となっていた。つまり、神山という場所は、光ファイバーが通っていて、高速インターネットがあって、動画もさくさくと動く。

2010年10月には神山にサテライトオフィスを置く最初の一社が決まった。名刺管理システムの開発等を行うベンチャーのSansan株式会社だ。誘致には社長・寺田親弘さんのシリコンバレーでの仕事歴が大きく関わっている。

シリコンバレーといえば、アップルやグーグル、またヒューレット・パッカード社などのアメリカのICT関連の最新先端技術ビジネス企業が本拠地にしている世界最大のエリアであり、現地で主流なのは、本社勤務に限らないモバイルワーキング。

川に足を浸けて、パソコンを広げ、東京とSKYPE会議。そんな光景がテレビでも放送され、神山でのサテライトオフィスは一躍注目の的となる。

現在、Sansan株式会社に続いて、7つの会社がサテライトオフィスもしくは本社を神山町内に設置している。NPO向けのオンライン募金システムの構築や事務局業務代行サービスなどを行う株式会社ソノリテはコールセンター業務をサテライト。神山町にて現地雇用も行った。神山でクラウドを利用したワークショップを行ったりすることで、神山での可能性を探るITサービス会社のダンクソフト。比較的業務場所の自由が利くコールセンター業務を行う会社テレコメディア。本社を大阪に残し、家族ごと移住したキネトスコープ社。そして、2013年から新たに決まったばかりの2社として、映像や広告等の企画デザインを行うドローイングアンドマニュアル社と、最大10名の社員を神山に配属するという、テレビ番組の情報発信等を行うプラットイーズ社が神山に支社を開設。

現在、上角商店街に多くのサテライトオフィスが並ぶが、オフィスの進出に伴い、商店、ひいては商店街のあり方も変わってきている。さまざまな業種の消耗品や備品などのニーズが発生してくることを考えたとき、ここには、前述の商店街を創造してしまうという考え方につながっていく。

お遍路道がある場所に宿場町が出来たように、歴史的な商店街の成り立ちと同じで、必要なお店が加わっていくという、有機的な展開だ。先に丸の内のようなビジネス街ができて、今度はそれに必要な機能が必要になってくる。田舎町をビジネス街に変えるという、普通なら考えられないことが、戦略的に、一歩一歩ていねいにことを進めた神山町だからこそ可能になってきている。