3)神山で働くひとたちの流れをつくる
ワーク・イン・レジデンスを進めるにあたり、移住者を受け入れる空き家が出てくるのを待つのでなくて、ぼろぼろになった空き家をグリーンバレーとして投資して、新しい場所をつくろう。アトリエ、工房兼住居みたいな感じのものをつくろうというプロジェクト「空家町屋」が開始される。
同プロジェクトで空き家の改修をお願いしたのは、徳島出身の若手建築家の坂東幸輔さん。ニューヨークに事務所を構えていた坂東さんが2009年に母校である東京芸大の建築家の助手として帰国する折、縁あってお願いすることに。その後、建築家の須磨一清さんも合流、2人の建築家とともにこのプロジェクトは進められることになる。
居住希望者が企画提案をし、建築家とともに実現するというプロジェクト。企画公募の結果、「イン神山」の映像撮影や編集などを担当し、神山に興味を持っていたトム・ヴィンセントの「ブルーベアオフィス神山」という企画が採用される。このアイデアは、都市部や海外からのクリエイターに1、2ヵ月貸し出す、というもの。借りる企業や個人が、事業を回す利用料を支払うだけでなく、それぞれのクリエイティビティを生かした地域貢献や地域との交流をはかってもらうことで、新たな仕事を創出する等の地域活性につなげていく。例えば、造形に関わるクリエイターであれば、アート作品を展示したり、教室を開いたり。都市部と自然豊かな神山町という対照的なふたつの地域を行き来するオフィスワークのあり方はグローバルで先進的なものだった。