アートとともにひと、もの、風土の新しいかたちをさぐる

アネモメトリ -風の手帖-

特集 地域や風土のすがたを見直す、芸術の最前線

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2013.02

おもてなしの精神で広がるまち 神山

前編 芸術家とのつながりがもたらすもの
4)まちに滞在してもらうことが財産になる

さて、芸術家村に関して、当時レジデンスということばすらよく知らなかった大南さんたちは、県庁の担当者に相談して、他の地域のレジデンスを視察することとなった。そこでは、アートのコンサルタント業者が入って、そのまちの予算で運営、現場の世話を教育委員会の職員が行っていた。そこから学んだことも多いという。
自分達で取り組みを提案して、つくってしまったというのが、神山のすごいところ。他の多くの自治体ではコンサル業務を行う外部業者に任せるのだが、それでは運営のノウハウなどが、全部コンサル側に蓄積されてしまう。そしてそれが終わったときには地域には何も残らないという結末が待っている。それに対し、募集から運営等何から何まで、経験がないなりにも全て町内でやりはじめたというのは、興味深い。
例えば、アーティストの選考などに関して、キュレーターなどの専門家には相談しないのだろうか。一般的なアーティスト・イン・レジデンスのスタイルは、作家にしても、著名だったり評価の定まった方に来てもらい、その方の作品を集積していくスタイル。集積された結果、それを見にくる観光客や交流人口を増やしていくというビジネスモデルだ。しかし、それには継続的にお金が必要になってくる上に、まちの意向は重要視されなくなってくる可能性がある。
そこで神山のレジデンスの考え方は、作品ではなく、滞在に重きを置くような位置づけとなり、スタートしていく。アーティストが滞在し、町の風景や文化人と交流し、それが見えないかたちで財産になって残っていくような流れだ。

———ターゲットを考えた場合、例えば四国内とか京阪神まで、と考えたら、制作滞在に来るアーティストは限られている。そこで、グローバルな展開を目指した。世界をターゲットにすれば、ごくわずかな比率でも神山に必要なアーティストは確保できるはず、と思ったわけです。

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