アートとともにひと、もの、風土の新しいかたちをさぐる

アネモメトリ -風の手帖-

特集 地域や風土のすがたを見直す、芸術の最前線

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2013.02

おもてなしの精神で広がるまち 神山

前編 芸術家とのつながりがもたらすもの
6)多様に広がるアーティスト・イン・レジデンス

日本独自に立ち上がったアーティスト・イン・レジデンスとしては、1993年、西多摩の小学校跡地にスタジオと住居を建設した「日の出町アーティスト・イン・レジデンス」にはじまり、陶芸家に特化した、美術館のスタジオがベースになっている滋賀県信楽の「陶芸の森」、滞在をサポートするコーディネーターを採用した日本初めての施設、茨城県の「ARCUS」(1994年設立)、パフォーミングアーツの分野にも解放した「山口県秋吉台国際芸術村」(1998年設立)、定期刊行物なども発行している研究機関としても機能している青森市の「国際芸術センター青森」(2000年設立)、公募や作品販売、オープンスタジオなど多彩なプログラムをもってアーティストと鑑賞者のハブとして機能する「トーキョーワンダーサイト」(レジデンスを行うTWS青山の開館が2006年)などが知られている主なところ。そのほかにも、滞在中の公式言語として英語と日本語を設定している「北九州CCA」、廃校となった小学校を利用した「京都芸術センター」や鳥取の「鳥の劇場」などによるパフォーミングアーツの分野でのレジデンスも増えている。1999年に始まった神山アーティスト・イン・レジデンスは、そんなふうに日本のAIRがさかんになった頃に生まれたものである。
国際交流基金情報センターによって運営されているウェブサイト「AIR_J」によると、現在、おおよそ全国に50件ほどのレジデンス施設やシステムが存在している。近年では、大きな施設でなくとも、さまざまな場所で急速に増加しているが、それは、ビエンナーレやトリエンナーレなどといった国際展の増加や、アーティストも世界のどんなレジデンスに招かれたかということが、キャリアの評価に関係していることも重要な要因である。
近年、市町村単位でも、さまざまな事例を参考に行われるレジデンスの機会も増えたが、そのまちの受け入れる体制が整っていないと、展示やプレゼンテーションといった作品の完成はもちろん、滞在中の地域とのコミュニケーションであったり、制作のプロセスを大切にするのはなかなか難しい。受け入れ側の要望と作家が制作したいものに関しても多くのコミュニケーションが必要だ。アーティスト・イン・レジデンスはこれからも導入される機会は増えると思われるが、それだけに課題も多い。

神山の地図とkairリーフレット

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