アートとともにひと、もの、風土の新しいかたちをさぐる

アネモメトリ -風の手帖-

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特集 地域や風土のすがたを見直す、芸術の最前線

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2013.02

おもてなしの精神で広がるまち 神山

前編 芸術家とのつながりがもたらすもの
8)芸術家の滞在によって生まれた変化、新しい関係

現在、恒久的に展示され、いつも見ることができる作品はおよそ20ほど。特に大粟山に集中している。実際に作品がまちのなかに増えることで、住んでいるひとたちはどのように感じているのだろう。
KAIR実行委員会会長の杉本哲男さんは「レジデンススタート以前からすると、大粟山や町の中に作品があることは、想像もしなかったこと。大粟山に作品が設置されたことで、NPOの事業の一環として森づくりがはじまったわけだし。それと、レジデンスに関係している人だけではなくて、林業をしているなど活動にはこれまで参加していなかったひととのつながりができた、という部分では違ってきましたね」という。森づくり、というのは、グリーンバレーが取り組む事業のひとつで、作品発表の場にする代わりに、森の整備を無償で行うというもの。まちのなかでも新しい関係ができていっているのだ。
うまくいったりいかなかったり、いろいろと大変なことも多々あるようだが、作家もサポーターも全力で取り組むということを通じて築かれる関係性や信頼というのもあると思う。レジデンスが終わった後も、関係は続く。作家の側からしてもそうだし、住民も帰ってくる作家を変わらず歓迎する。これまでで日本人が3人移住してきた。山のなかにアトリエをつくって、行ったり来たりして制作を行う海外の作家もいる。自費で滞在制作を行う作家もいたり、もちろん遊びに来たり、大勢で来てまちでプロジェクトを行ったり。内外においてこのような継続的な関係性ができたりもしている。
遍路道沿いに開けた、お接待文化の残るまち・神山町。ここで自主的に始まった芸術家村としてのアーティスト・イン・レジデンスは2013年で15年目となる。グリーンバレーの活動が町内外でさまざまな有機的な流れを生み、さまざまな変化を生み出すことで、まちそのものが変わってきたのではないだろうか。

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イン神山
http://www.in-kamiyama.jp/

AIR_J
http://air-j.info/

取材・文:松永大地
1981年生まれ。京阪神エルマガジン社『エルマガジン』編集部、京都造形芸術大学ギャラリーRAKUを経て、現在、成安造形大学勤務。編集、ライター。町のアーカイブユニット「朕朕朕」として、小冊子『2Oi壱』を制作。

写真:成田 舞
写真家。関西を中心に展覧会等の活動を行う。2009年littlemoreBCCKS第二回写真集公募展で大賞・審査員賞を受賞(川内倫子氏選)。写真集『ヨウルのラップ』(リトルモア)。