アートとともにひと、もの、風土の新しいかたちをさぐる

アネモメトリ -風の手帖-

特集 地域や風土のすがたを見直す、芸術の最前線

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2013.02

おもてなしの精神で広がるまち 神山

前編 芸術家とのつながりがもたらすもの
7)ユニークなプレゼン型選考

神山アーティスト・イン・レジデンス(KAIR)に話をもどそう。神山では、毎年国内外を問わず公募で選出された3名のアーティストを招聘しているが、この数年の募集総数は毎年100通ほどで、そのうち日本人は10〜15%である。
作家の選考に関しては、以前からまちと関係があった武蔵野美術大学の嘉藤笑子先生が相談役として入っているものの、作家の決定は、作家の応募資料をもとにすべてまちのひとたちで決める。グリーンバレーのレジデンス担当、工藤桂子さんにお話をうかがうと、神山では3年前から、プレゼン形式で選考が行われているという。

———多くのレジデンス施設での制作を経験してくるアーティストも多く、神山でどのような作品をつくりたいということを具体的に書いて提出してくれたという熱意と真摯に向き合いたい。こちらも選ぶ作業には体力使うし、可能な限りみんながフェアな状態で選考をしたほうがいいのかな、というのもあって方法を改めたのです。

具体的には、選考委員会において各応募者の担当者を決め、それぞれがメンバーに対して作家のことをプレゼンする。応募動機に始まり、どんな作家でどんな作品を作っているか、神山での作品提案などについてを話すのだ。資料とともに、そのプレゼンを参考に話合いを重ねて決めていく。「自分が気に入ったひとをプレゼンをするのではなくて、客観的にプレゼンをすることで、皆が作家が書いてきた思いを少しでもフラットに共有できればいいかなと思ってます」。それぞれに熱の入る最終選考は1日では決まらないことも多いという。
選考委員たちは、作家について調べるし、そのひとなりの解釈、ことばで、作家について語っていく。美術の専門的な知識ではなく、みなが共有できる感覚とことばで進められる。基本的にはみんなの意思は、「神山にこれがあったら面白い、この作家の作品を神山で見てみたい」かどうか、また「この作品はどんなふうにつくられているんだろうか」というような作家と作品そのものに対する好奇心が重要視されているのだ。

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