アートとともにひと、もの、風土の新しいかたちをさぐる

アネモメトリ -風の手帖-

特集 地域や風土のすがたを見直す、芸術の最前線

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#76
2019.09

まちを耕すアート 台湾・台南

3 記憶の断片を縫い合わせる

台南のまちは、ミルクレープに似ている。幾層にも重ねられた土地の履歴というクレープ生地のあいだには、地層のように濃厚なクリームと、南国フルーツのスライスが顔をのぞかせて輝く。だから、台南のまちを歩きまわっていると、おいしいお菓子を口にしているような、充実した幸福感につつまれる。
そのおいしさは、台南の人々の伝統を大切にした昔ながらの暮らしぶり、そして地域・行政・アーティストがゆるやかにアートで結びつきながら、まちの文化や歴史を見直し、また発見していく新しい息吹に支えられている。
台南特集の3回目であり最終回にあたるこの号では、現代美術とまちをつなげる台南のキーパーソン、杜昭賢トゥ・ジェイミー、以下ジェイミー)さんのこれまでの道のり、そしてジェイミーさんが運営を手掛ける地域芸術祭「2019漁光島芸術祭」をレポートしつつ、まもなく開府400年を迎えようとする台南における、アートと地域のこれからについて考える。

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台南で泊まった民宿「謝宅」の一軒家の風呂。木材を使った日本的なリノベーションに、台湾レトロデザインとして象徴的なポップカラーのタイルがあしらわれる / 日本時代に創立したデパート「林百貨」の屋上には、古い郵便ポストや神社のお宮跡のほか、米軍による空襲の痕跡も / 路地に見つけたクラシックレコードも扱う喫茶店。緑と手芸的な装飾の一体が台南的

台南で泊まった民宿「謝宅」の一軒家の風呂。木材を使った日本的なリノベーションに、台湾レトロデザインとして象徴的なポップカラーのタイルがあしらわれる / 日本時代に創立したデパート「林百貨」の屋上には、古い郵便ポストや神社のお宮跡のほか、米軍による空襲の痕跡も / 路地に見つけたクラシックレコードも扱う喫茶店。緑と手芸的な装飾の一体が台南的