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アネモメトリ -風の手帖-

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#76
2019.09

まちを耕すアート

3 記憶の断片を縫い合わせる 台湾・台南
2)まちに芸術の種を埋め込む
「都市芸術工作室 UrbanART Studio」杜昭賢さん2

新生態芸術環境を閉じた後に、ジェイミーさんは出国してアートについて改めて学ぶことを決意。2000年より渡米し、サンフランシスコのAcademy of Art Universityに在学して写真を学ぶ。

———2004年に台南にもどり、地域の住民の方々と台南市・都市発展局といっしょに、アートとまちをつなぐ「芸術造街運動」を始動させました。そこで取りかかったのが、街道美術館です。街道美術館は、台南市の幹線道路で地下鉄の上を走る幹線道路「海安路」において、ストリートアートとパブリックアートを組み合わせる試みでした。はじめは小さな取り組みでしたが、年を経るごとに海安路沿いの地域を巻き込んだ大がかりなコミュニティアートに進化していきます。
2018年には、国際コンペによって決まったオランダの建築家チームMVRDVによる景観改造工事の完成にともない、「街道美術館 PLUSというプロジェクトを開催しました。「都市のサウンド」と「都市のランウェイ」という2つのテーマに沿って、台南のまちそのものを会場にして、20組以上のアーティストによる40点のインスタレーションが、まちの中心である中正路と海安路の地下鉄通気塔や変電箱、アーケードの天井に入り込み、新しいまちの景色を創りだしました。

大好きな台南の土地を耕してひとつずつ埋め込んでいったアートの種が、大きく成長して花開いた台南を世界に見て欲しい、そういつも願っているというジェイミーさん。幅広い活動の源となっているのは、ふるさとへの愛情なのだ。

「街道美術館  PLUS」のパンフレット(2018)

街道美術館 PLUS (2018) のパンフレット