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アネモメトリ -風の手帖-

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#312

ナナちゃんの現在地
― 愛知県名古屋市

今もナナちゃんは、名古屋駅前で元気に活躍しています。おかげで名鉄百貨店が閉店しても、旧メンズ館辺りから続くナナちゃんストリートの風景は大きく変わっていません。
ナナちゃん(正式名称:「ナナちゃん」人形)はマネキン人形の姿をした元名鉄百貨店のマスコットです。ただ、身長が約6メートルもあるので、マスコットと呼ぶのはいささか憚られます。通常のマネキン人形ならば店内にいくらでも設置されているため、巨大化することでマスコットとして成立できたと言えそうです。サイズは破格でも姿は無色、無表情で寡黙、あくまでも衣装が主役であるマネキン人形の使命を全うしています(顔芸を披露されたこともありましたが)。

ナナちゃん(2026年3月)

ナナちゃん(2026年3月)

ナナちゃんは、1973年に誕生以来、名鉄百貨店の「広報部員」として様々な装いでプロモーションに励みながら、百貨店と駅前の賑わいに貢献してきました。2026年2月末、再開発に伴い名鉄百貨店は営業を終了しましたが、ナナちゃんは同じ場所に立って、イベント等の情報発信を継続することになりました。ナナちゃんが百貨店の枠に留まらず、名古屋駅前のアイコンになっていることが認められたのです。

閉店後の名鉄百貨店

閉店後の名鉄百貨店

百貨店のマスコットは三越のライオン像や高島屋のローズちゃんが有名です。ところが、百貨店は閉店したのに、マスコットだけが存続するケースが稀に見られます。京都丸物の鐘や函館にあった棒二森屋の熊像がそれにあたります。今般、ナナちゃんも仲間入りを果たしました。
ちなみに名古屋には、その例がもう1つあります。それは名古屋三越の前身、オリエンタル中村百貨店のマスコットだったカンガルー像です。三越となった現在、入口でのお出迎えはライオンが担い、カンガルーは屋上へテリトリーを移して、静かに隠遁生活をおくっています。

名古屋三越のライオン像

名古屋三越のライオン像

名鉄百貨店営業終了日のナナちゃん(2026年2月28日)

名鉄百貨店営業終了日のナナちゃん(2026年2月28日)

営業終了日の名鉄百貨店は、閉店を惜しむ来店客で大混雑していました。特筆すべきは、ナナちゃんの現役続行が公表されているにもかかわらず、多くの人が記念にナナちゃんを撮影していたことです。やはり名鉄百貨店のナナちゃんなのです。ナナちゃんも百貨店マスコット冥利に尽きることでしょう。

参考
名古屋鉄道ニュースリリース「名古屋駅前の愛されアイコン「ナナちゃん」人形」、
https://www.meitetsu.co.jp/profile/news/2025/__icsFiles/afieldfile/2026/02/10/26-02-10nanachan.pdf(2026年4月16日閲覧)。

名古屋市「【まちなみデザイン貢献賞】ナナちゃん人形」、
https://www.city.nagoya.jp/kankou/kankouinfo/1013766/1034139/1034447/1013895.html(2026年4月16日閲覧)。

東海テレビ放送「特集 | 三越『ライオン像』 名古屋・栄の店で13年ぶりに中央へ」、
https://www.tokai-tv.com/newsone/corner/20190923-mitsukoshilion.html(2026年4月16日閲覧)。

(三木京志)