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アネモメトリ -風の手帖-

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#138

新たな魅力発信 ~人形のまち岩槻~
― 埼玉県さいたま市

雛人形の産地と言えば京都や金沢というイメージがありますが、実は埼玉県が生産量日本一で約40%(平成29年)のシェアを占めています。
さいたま市岩槻区は鴻巣市や越谷市などと並ぶ雛人形の一大生産地で、人形とともに発展してきたまちです。
岩槻周辺は昔から上質桐の産地として、箪笥や下駄などの桐製品が盛んにつくられてきました。江戸時代の初め、日光東照宮の造営や修築にあたった工匠たちの一部が、日光御成道の宿場町だった岩槻で、桐細工の際に出る豊富なおがくずを利用して人形をつくったのが始まりとも伝えられています。
季節の節目である五節句が定められて、江戸時代後期には「雛祭り」が行事として広まり、江戸では人形文化が開花しました。その供給地として、岩槻など武州(現在の埼玉県を含む地域)の村々でも人形づくりがはじまりました。実際に人形づくりが盛んになるのは大正時代以降で、関東大震災や戦争で被災した東京の職人たちが岩槻に流入してきてから生産量が拡大していったそうです。
このような人形のまち岩槻に、今年、人形をテーマとした日本初の公立博物館「さいたま市岩槻人形博物館」がオープンしました。所蔵品は、日本画家で人形玩具研究家の西澤笛畝(にしざわてきほ)のコレクションが中心で、岩槻人形の魅力も様々な形で紹介されています。
現在開館記念として、葵の紋が入った極彩色の《犬筥(いぬばこ)》や華やかな雛人形など、博物館を代表する貴重な名品が展示されています。
また博物館のオープンと時期を同じくして、まちなかでは「まちかど雛めぐり」が開催されています。商店に伝わる古い人形や現在活躍している職人たちの作品、数多くのつるし雛などで街中が華やかに彩られています。
「まちかど雛めぐり」は3月8日に終わりますが、さいたま市では3月28日から5月17日まで、大宮駅周辺をメイン会場とした「さいたま国際芸術祭2020」(テーマ「花/flower」)が開催されますので、オープンしたばかりの「岩槻人形博物館」の見学とともに、この時期是非さいたま市に遊びにいらしてください。

(小野行幸)

さいたま市岩槻人形博物館
https://ningyo-muse.jp

愛宕神社に飾られた大雛段飾り

愛宕神社に飾られた大雛段飾り

2月22日にオープンした「さいたま市岩槻人形博物館」

2月22日にオープンした「さいたま市岩槻人形博物館」

「さいたま市岩槻人形博物館」に展示中の西澤笛畝コレクション《犬筥》

「さいたま市岩槻人形博物館」に展示中の西澤笛畝コレクション《犬筥》