4)自立と自走 店を開けつづけるために
HAKUSENの立地は、汽水空港とは湖に沿った国道22号線を挟んで徒歩数分。松ヶ崎駅近くには、宿泊やギャラリー、カフェなどの複合施設「たみ」があって、湖畔沿いを歩いて丘を登れば、この後紹介するミニシアター「ジグシアター」がある。
今でこそ、駅近辺の文化的なエリアだけれど、HAKUSENがオープンした2015年ごろは、たみが1年ほど先がけてオープンしていたものの、汽水空港はまだきちんとした営業形態は取れていなかった。古くから続くお店は数軒あったが、小島さんにとっては、まだ何もない地域という感覚だった。
———けっこう廃墟だらけだったんです。ここを借りた時、目の前の空き地には5階建てぐらいの旅館があったんですよ。交差点のところにも、4階建てくらいの旅館があって。うちの店はその陰に隠れていて、お客さんが通り過ぎてしまったりして、やっと辿り着くような場所だったんです。今でこそ、ひらけてきたんですけど。

湖に浮かぶようにしてあるHAKUSENの建物
ここ数年で、HAKUSENや汽水空港、ジグシアターなどをコミュニティ的に紹介するメディアも出てきたが、小島さんは、ひとくくりにして取りあげられることには違和感を抱いている。
———群れているイメージで、「みんなで仲良くやっている」「移住って楽しそう」というふうに発信されたくないというか。みんな、それぞれ自立してじゅうぶん立派にやっているのに。仲が悪いわけでもなんでもなくて、「独立していてこそ、外と対等にいられる」と思っているので。
そういう記事などで、このまち面白い、となっても、あまり長続きしないだろうな、とも思うんですよね。
だから、うちだったら「開きつづける」ということが、まちにとっても一番いい。カフェが開いてて、そこに人が出入りしていることに意味があると思っているので。
内輪でまわしているのではない、それぞれの自立をベースにした、ひらかれた地域であること。イベントを一緒にやったりするのもいいけれど、小島さんは何より、きちんと店を開けることが、まちの文化の持続につながると考えている。

入って右手はギャラリースペースで、器などを展示している。ジグシアターでかかっている映画のフライヤーもディスプレイされていた


