中山間地域の農業の課題を、「小さいものと、小さいものをつなぐ」というシンプルな活動を通して、みんなで解決していこうーー徳島・神山町の株式会社フードハブ・プロジェクトは、2016年4月にはじまった農業の会社だ。「地産地食」を軸に、「育てる(農業)」「つくる(料理・加工品)」「食べる(食堂、パン・食料品店)」「つなぐ(食育)」の4つの領域で、農業を次の世代につないでいく循環をつくろうとしている。
前回の記事では、「育てる」「つくる」の領域から、食堂「かま屋」、パンと食料品の店「かまパン&ストア」、加工品の製造について紹介した。今回は、フードハブが神山町内の学校で行なってきた食農教育の取り組みにフォーカスする。
神山町では、20年以上前から小学校の授業で行う毎年の田植えと稲刈りに、地元の農家さんたちが協力していた。フードハブが関わりはじめてから、種籾(たねもみ)を塩水に入れて選別する「塩水選」や苗づくり、田んぼの土を均す代掻き(しろかき)、米づくりのプロセスをすべて体験する授業へとアップデートしている。保育所や中学校での食育、町内の農業高校・徳島県立城西高校神山校でもさまざまな取り組みが広がっている。
神山町の教育現場で育まれている食と農の循環について、フードハブの食育係を務めたのち、2022年3月にNPO法人まちの食農教育を設立した樋口明日香さんの話を中心に、これまでの取り組みを紹介する。
- 1)食を身近に お弁当プロジェクトから
- 2)「育てる、つくる、食べる、つなぐ」を継続する
- 3)耕作放棄地を在来種小麦の畑に まめのくぼプロジェクト
- 4)すべての子どもに農体験を
- 5)おいしい「学校食」がもたらす変化