「自分でつくる公共」とはどんなものだろうか。行政の力を頼らずに、公民館でもコミュニティカフェでもないかたちでそんな場をつくり出しているのが、東京都墨田区千歳にある喫茶ランドリー。ここはミシンやランドリーが使える“家事室のある喫茶店”としてだけではなく、ひとが集まる新しいタイプの場としても内外から注目されており、多くのひとが訪れる。
前回は、喫茶ランドリーを運営するグランドレベルの大西正紀さんに、喫茶ランドリーができるまでのいきさつと、喫茶ランドリーの理念や場のデザインについてお伺いした。
空間にひとが関わりやすい隙をあえて残してつくり、スタッフが声かけするコミュニケーションなどによってひとの能動性を引き出すことで、来たひとがやりたいことをできるように働きかけている。
ここで目指されているのは、誰もが居ることを許されている場。そこに行政や地域社会によらない、「自分でつくる公共」のヒントがかいま見える。
今回は、実際のスタッフの動きとお客さんがいかに喫茶ランドリーを使いこなしているかの観察と、グランドレベル代表の田中元子さんのお話をもとに、喫茶ランドリーが体現する公共性についてレポートしていく。