アートとともにひと、もの、風土の新しいかたちをさぐる

アネモメトリ -風の手帖-

特集 地域や風土のすがたを見直す、芸術の最前線

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#133
2024.06

境界をなくす 福祉×デザインの「魔法」

2 まほうのだがしや チロル堂ができるまで 奈良県生駒市

奈良県生駒市の「まほうのだがしや チロル堂」(以下、チロル堂)を紹介する3回連続の記事の第2回。チロル堂はその名の通り駄菓子屋だが、ただの駄菓子屋ではない。小学生から高校生まで、年齢も学校もバラバラな子どもたちが学校帰りに集まる食堂であり、遊び場であり、自習室でもある。
さらに、ここでは、18歳以下の子どもなら誰でも、ガチャガチャを100円で回せて、トイカプセルに入った店内通貨(1チロル)を1枚から3枚受け取れる。それで好きな駄菓子を買ったり、500円のカレーも食べられる。オープンして2年で早くもまちに馴染み、子どもたちに大人気の居場所になっていた。
このしくみを支えるのは、主に地域の大人たちだ。夜は居酒屋「チロる酒場」に姿を変え、大人たちが飲食を楽しむことで「チロる」=寄付することで成り立っている。

この画期的な場所は、一体どのようにしてつくられたのか。そして立ち上げから現在までどんな変化が見られるのか。今回は、チロル堂の発起人であるアートスクール「アトリエe.f.t」代表・吉田田タカシさん、福祉事務所「非営利型一般社団法人  無限」代表・石田慶子さん、合同会社「オフィスキャンプ」代表・坂本大祐さんの3人に、開店前のチロル堂に集まっていただき、じっくりとお話を伺った。

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左から石田慶子さん、坂本大祐さん、吉田田タカシさん

1)「突破口」としての居場所を
2)駄菓子とガチャガチャ 「どんな子でも」を考えぬく
3)手を加えずに、最小限で自由をデザインする
4)ルールを設けない、注意しない。その先の変化
5)大人を巻き込む 意識を変え、参加するところから