アートとともにひと、もの、風土の新しいかたちをさぐる

アネモメトリ -風の手帖-

特集 地域や風土のすがたを見直す、芸術の最前線

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#27
2015.03

とつとつとした点描−美術家・伊達伸明さんの仕事

後編 細馬宏通さん、福永信さんとの対話

伊達伸明さんの美術家としてのこれまでを、時間を遡りつつうかがった前半のインタビューに対して、後半では2つの対話から伊達さんの持つ別の側面を引き出していきたい。
対話相手のひとりは、ひとのしぐさや身振りなどを研究する一方、視聴覚、触覚などの感覚について柔軟な考察を続ける細馬宏通さん。もうひとりは小説家の枠におさまらない小説家の福永信さん。そのどちらの対話も、日常に潜む違和感をそれぞれの方法ですくい上げ、ことばにできるひとたちの間でやりとりされるセッションのような時間だった。
細馬さんとの対話は、美術家という肩書きを超え、前半のインタビューで出てきた「面白がる感度の高いひと」として、伊達さんが対象へ向き合うときの感覚やそのアプローチについて考えるためのきっかけになっている。対して、福永さんとの対話は、子どものころの話を軸に、美術家としての伊達さんや伊達さんの作品をどう受け取るのか、ともに考えるための手引きのようなものになっている。

MG_7367伊達伸明(だて・のぶあき)
美術家。1964年生まれ。2000年より、取り壊される建物の一部を使ってウクレレを制作する「建築物ウクレレ化保存計画」を開始。その他、まちの波板の撮影・収集も続けている。2012年より、仙台にて「亜炭香古学」プロジェクトを開始。2014年から2015年にかけて、ダンス公演「とつとつダンス part.2 愛のレッスン」に出演するなど、活動は多岐にわたる。

self_portrait細馬宏通(ほそま・ひろみち)
1960年生まれ。滋賀県立大学人間文化学部教授。専門は会話とジェスチャーの分析、19世紀以降の視聴覚メディア研究ほか。ミッキーマウスからユーミン、テレビドラマ『あまちゃん』まで、守備範囲の広さでは右に出る者なし。バンド「かえる目」ではヴォーカルとギターを担当。著書に『浅草十二階 塔の眺めと〈近代〉のまなざし(青土社)、『ミッキーはなぜ口笛を吹くのか: アニメーションの表現史(新潮社)、『今日のあまちゃんから(河出書房新社)、『うたのしくみ(ぴあ)など。
http://www.12kai.com/

fukunaga福永信 (ふくなが・しん)
1972年、東京生まれ。京都市在住。小説を書いています。RealKyotoではブログも書いてます。
http://realkyoto.jp