4)アメリカから 変わっていても受け入れてくれる村へ
フランシスとゆふこ1
アメリカから移住した陶芸家のフランシス・ブリベンさん、妻の栗岡ゆふこさんが、工房「Okuyama House(おく山ハウス)」を構えているのが、村役場から10キロほど山間へ進むと現れる、美しい清流・四郷川沿いの集落だ。深い緑の山々に囲まれ、日本の原風景が色濃く残る大豆生(まめお)地区という。
とても広い敷地内に、工房と自宅がそれぞれ建っている。庭に木材や丸太、道具などが置かれていた。フランシスさんが自らつくったデッキからは山や川をのぞむことができ、そこに畳を敷けばお茶席スペースにもなる。その前の庭にはもともと植えられていたお茶の木が育っていた。


二人が出会ったのは、アメリカ・カリフォルニア州のバークレー。ゆふこさんは2000年に渡米し、2003年にバークレーへ。大学で日本語と日本文化を教える仕事をしながら、茶の湯やヨーガ、瞑想を教える個人活動も続け、2012年頃から趣味として陶芸を始めていた。
一方、フランシスさんは2006年から陶芸を始め、その後陶芸の講師になり、バークレーにある総合陶芸センター「The Potters Studio」でクラスを担当していた。2015年、二人は同センターで出会ったのだった。
フランシスさんは日本の土や伝統的な焼成方法に惹かれ、二人は日本で活動することを決めた。移住先を探すため、コロナ禍に突入する直前の2019年に二人は日本へ飛び立ったのだ。

フランシス・ブリベンさんと栗岡ゆふこさん

ゆふこ : 私は当時、陶芸を始めたばかりでしたが、「本格的にやっていきたい」と思い、日本で場をつくって自分たちの作陶やアーティスト・イン・レジデンスのような活動をやっていきたいと考えました。
移住先の希望条件は二つありました。一つが、「私たちが大事にしたい焼成法やソーダ窯というものが日本ではまだあまり知られていないので、陶芸で有名な産地で産品をつくるのではなく、自分の作品をつくりたい。だから、ものづくりをしている人がいる地域がいい」。もう一つが、私の実家が関西なのと、海外から人に来てほしい思いもあって「関西空港から2時間くらいで行けるところ」です。
ネットで調べるうち「オフィスキャンプ東吉野」の存在を知り、村が掲げる「クリエイティブビレッジ構想」にも惹かれ、おもしろそうな村だと思いました。陶芸をする人を募集しているという情報も見つけて、初めて訪れたんです。
村を訪れた際の印象を、二人は次のように振り返る。
フランシス : 村の人々がとても親切で協力的で、優しかったです。私は今もそこがとても好きです。私は子どもの頃、田舎に住んでいて野山を走り回っていたので、東吉野村の自然も気に入りました。
ゆふこ : 不思議な村だなと思いました。村の人たちは、自分の理解の範疇を超えるような人がいても、批判せず受け入れるんです。例えば変わった格好をしている人がいても、批判はしません。客観的な意見として「あんまり見いひん、変な格好してるな」って直接言うことはあるかも(笑)。私たちにとって、ものすごく居心地がいいと感じました。
それらは二人が「ここでものづくりをしたい」と決断するのに十分だった。2019年、二人は東吉野村へ移住。ゆふこさんは同年から、フランシスさんは翌年から地域おこし協力隊に着任した。


