アートとともにひと、もの、風土の新しいかたちをさぐる

アネモメトリ -風の手帖-

特集 地域や風土のすがたを見直す、芸術の最前線

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#158
2026.07

移住と仕事のいま2026

1 海外からの移住 異なる暮らしを接続する 奈良県東吉野村

3)学び、受け継ぎ、発信する
フィリックスとエミリー3

フィリックスさんとエミリーさんは共通して「ここで暮らしながら、次世代のために少しずつ環境を良くしていきたい」と考え、それぞれの活動に邁進している。
フィリックスさんは、地域経済の持続に関わろうとしているのだ。

フィリックス :  私は今、二つのプロジェクトに取り組んでいます。一つはビジネスとして吉野杉や吉野檜といった地域の木材を活用し、健全な森林をつくり、良い環境を整えていきます(KIRIMORI)。
もう一つは、さまざまなブランドと協力して、家具をつくったり、製品を開発したり、住宅のデザインを手がけたりしています。2026年秋に、デザインした町家が京都にオープンする予定です。私が開発している製品は、「Felix Conran Shop」のオンラインショップで購入できます。2026年は毎月、新しい商品を追加する予定です。

「日本人の感性にとても惹かれています」と話すエミリーさんは東吉野きのこ会を立ち上げ、Instagramなどを通じて、野草やきのこなどの里山の魅力を発信している。「私の今の主な暮らしは、半分は野山でフィールドワークや撮影をしていて、もう半分は家で動画を編集しています」と笑う。
エミリーさんは移住と同時に地域おこし協力隊に着任しているが、その熱量から、単なる仕事としてではなく、純粋な興味から行動していることが伝わってくる。

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だからこそエミリーさんは、自然や地域に根ざした文化が失われつつあることに危機感を持つ。

エミリー :  これから情熱を注ぎたいのは、人が自然とのつながりを取り戻す手助けをすることです。日本では文化としては残っているのに、人と自然との接点は失われつつあります。
例えば、昔のイギリスではよもぎが使われていたけれど、今はもう誰も使わず、知られてもいません。でも日本では、よもぎは体にいいものだと認識されていて、今もよもぎ茶を飲んだり、よもぎ餅を食べたりします。ただ、よもぎという植物はわからない人が多いんです。
私は、本来あった自然との結びつきを人が実感できるコミュニティをつくり、人がここでゆっくりとした時間の中で自然と向き合えるようにしたいです。

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よもぎ畑につくった東屋。ここでふたりでお茶や食事を楽しんだり、近所の人を招いてくつろぐことも