アートとともにひと、もの、風土の新しいかたちをさぐる

アネモメトリ -風の手帖-

特集 地域や風土のすがたを見直す、芸術の最前線

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#156
2026.05

シネマと本とパンと まちの「あいだ」を潤す

2 カフェ「HAKUSEN」 鳥取県東伯郡湯梨浜町
4)自立と自走 店を開けつづけるために

HAKUSENの立地は、汽水空港とは湖に沿った国道22号線を挟んで徒歩数分。松ヶ崎駅近くには、宿泊やギャラリー、カフェなどの複合施設「たみ」があって、湖畔沿い歩いて丘を登れば、この後紹介するミニシアタージグシアター」がある。
今でこそ、駅近辺の文化的なエリアだけれど、HAKUSENがオープンした2015年ごろはみが1年ほど先がけてオープンしていたものの、汽水空港はまだきちんとした営業形態は取れていなかった。古くから続くお店数軒あった、小島さんにとっては、まだ何もない地域という感覚だった。

———けっこう廃墟だらけだったんです。ここを借りた時、目の前の空き地には5階建てぐらいの旅館があったんですよ。交差点のところにも、4階建てくらいの旅館があって。うちの店はその陰に隠れていて、お客さんが通り過ぎてしまったりして、やっと辿り着くような場所だったんです。今でこそ、ひらけてきたんですけど。

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湖に浮かぶようにしてあるHAKUSENの建物

ここ数年で、HAKUSENや汽水空港、ジグシアターなどをコミュニティ的に紹介するメディアも出てきたが、小島さんはひとくくりにして取りあげられることには違和感を抱いている。

———群れているイメージで、「みんなで仲良くやっている」「移住って楽しそう」というふうに発信されたくないというか。みんな、それぞれ自立してじゅうぶん立派にやっているのに。仲が悪いわけでもなんでもなくて、「独立しててこそ、外と対等にいられる」と思っているので。
そういう記事などで、このまち面白い、となっても、あまり長続きしないだろうな、と思うんですよね。
だから、うちだったら開きつづけるいうことが、まちにとっても一番いい。カフェが開いてて、そこに人が出入りしていること意味があると思っているので。

内輪でまわしているのではない、それぞれの自立をベースにした、ひらかれた地域であること。イベントを一緒にやったりするのもいいけれど、小島さんは何より、きちんと店を開けることが、まちの文化の持続につながると考えている。

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入って右手はギャラリースペースで、器などを展示している。ジグシアターでかかっている映画のフライヤーもディスプレイされていた