津軽に古くから伝わる固有の家庭料理をつなぐ「津軽あかつきの会」(以下、あかつきの会)を取り上げる第2回。時代の流れによって途絶えかけていたレシピを掘り起こし、つくり、伝え残すその活動は20年を超える。会員の顔ぶれはみな女性で、そうして今日までつないだ料理は、いまでは毎週定期的に開かれている食事会で振る舞われる。収益を得ることを目的とせず、ひたむきに料理することを目的として集まり、インディペンデントにあり続けるあかつきの会。前回はそれらの根幹を築いた会長の工藤良子さんを取り上げ、話を聞いた。
あかつきの会は「ばっちゃ」「かっちゃ」「あっちゃ」で構成されている。これは津軽弁の言い方で、それぞれ「おばあさん」「お母さん」「お姉さん」のことを指し、「ばっちゃ」は会の大きな方針を決め、ときに調理しながら見守るようなかたちで会に関わる。そして実際に台所を稼働させる「かっちゃ」はいわば会の背骨であり、会の半数以上は彼女たち。台所を切り盛りしながら、自分たちが教わったようにその調理法と味を、まだ修行中の「あっちゃ」に伝えていく。あかつきの会を3回にわたって紹介するこの第2回では、前回のばっちゃ・工藤さんに続いて、「かっちゃ」に焦点を当てる。
私たちが取材に伺ったのは日曜日の朝。あかつきの会が開く食事会の仕込み時間に、実際にかっちゃたちが働くその台所を見せてもらった。
- 1)臨機応変、柔軟に その日、そのメンバーでできること
- 2)下処理に手をかけ、隅々まで使いきる
- 3)みんなで決める、ならではの味
- 4)沁み入る味、体感する知恵
- 5)女性たちの大きな家族、宝の会
- 6)受けとり、受けわたす 食の底力