3)ジグ=治具 映画を下支えする構造として
2021年2月初旬に湯梨浜町に引っ越してきて、プレイベントを行ったのが2月末のことだった。かなりの急ピッチだが、話を聞いていると、流れには逆らっていないように思える。今のスペースとの出会いにしても、移住前に、この建物の1階にあるカフェ「リブラリエ」を訪ねたことからつながっている。
三宅 2020年の夏はまだ、大山の方に移住しようと思っていましたが、柴田が免許合宿で倉吉に来ていた間、ご飯を作る場所として「たみ」のキッチンを借りていました。私と息子もたみに宿泊していて、HAKUSENに行きました。HAKUSENのことはもともと知っていたけど、スタッフさんにリブラリエがオープンしたことを教えていただいて、行ってみたら、すごく素敵なカフェと建物で。それがこの場所との出会いでした。一番上(3階)がレンタルして使える場所だったので、とりあえず、仮にやってみよう、という流れで。
ふたりは共用会議室を借りて、プレイベントというかたちで、映画をかけてみることにした。
「ジグシアター」という名称は、移り住む前に決めていた。「ジグ」は治具という大工用語から来ていて、ものをつくるときの支えになるものの名称だ。柴田さんは、哲学者の福尾匠さんのXでその言葉を知って、「作業のために必要だが成果物には残らないガイド」という概念に惹かれた。
劇場の空間をつくるにあたっては、京都で空間設計をしている奥泉理佐子さんと話をして、木製のパレットを組んで、クッション材を重ねて座席をつくっていくことにした。どうなっているのか、構造が見える。大工さんにも来てもらったが、座席を組むときなどに、実際に「治具」という言葉が飛び交っていたという。
柴田 プレイベントのときに、本当に「治具」だったと思いました。この映画館は、映画との出会いをふくめて、映画のための案内役としての装置だったんだなって。
映画を下支えして、上映が始まれば見えなくなってしまう存在として。このスタンスは最初からずっと変わっていない。




