前回につづき、大正から昭和にかけて建てられた古い建物とその活用について考えていく。その第2弾「垂水五色山西洋館」は、2023年8月に譲り受けた洋館を改修し、2024年5月より暮らしながら地域に開きはじめたスペースだ。週末ともなればサロンコンサートや展示会、ワークショップなどが開催される。
ここは趣味的に洋館を愛好していた方が実際に洋館を譲り受け、活用へと進めた稀有な事例だ。解体寸前であったこの洋館がなぜ志ある人の元へと譲り渡され、活用されるに至ったのか。背景には、神戸という地域に蓄積された先人たちの取り組みと、文化財活用をバックアップする仕組みがあるという。
今回は、垂水五色山西洋館の管理人で喫茶店「九郎右ヱ門珈琲店」の経営者でもある酒井善英さんと、建築愛好家で垂水五色山西洋館の調査や活用に尽力した中尾嘉孝さんに、その経緯と洋館に対する思いを伺った。