奈良県生駒市の「まほうのだがしや チロル堂」(以下、チロル堂)を取り上げる3回連続の記事の最終回。
チロル堂は地域の子どもたちに大人気の店だ。店にはガチャガチャがあり、百円を入れて回すと出てくる店内通貨(単位は1チロル=百円)で、子どもたちは駄菓子を買ったり、500円のカレーが食べられたりする。年代も性別もばらばらな子どもたちが入り交じって過ごせる「自由な居場所」だ。一方、夜は大人の「チロる酒場」に変わり、大人たちの使うお金が、チロル堂のしくみを支える。地域の子どもも大人も楽しく過ごせる画期的な場所となっている。
第1回記事ではチロル堂のありかたをレポートし、第2回はチロル堂を立ち上げた3人、デザインに携わる吉田田タカシさん、坂本大祐さん、福祉事業を手がける石田慶子さんに、オープンに至ったそれぞれの背景と積み重ねた対話について、お話を伺った。
最終回となる今回は、チロル堂の立ち上げにかかわったもうひとりの人物で、生駒で子どもの食と教育に取り組んでいる溝口雅代さんにお話を聞いた。溝口さんの子どもたちへの眼差しを追いつつ、チロル堂のもつ可能性を、地域とのかかわりを含めてみていきたい。
1)チロル堂×たわわ食堂 間口をより拡げる
2)一瞬でも力を抜ける場所に 「雑な関係」を
3)地域の灯火となる宿泊施設を 「しおのめハウス」
4)それぞれに合った魔法を、各地で見いだす