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アネモメトリ -風の手帖-

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#29

川端通りぜんざい広場
― 福岡県福岡市

辛子明太子、豚骨ラーメン、川端ぜんざいが博多3大名物であると、いつ誰が決めたのかわからないその“3大”がふと気になってしまいました。これまで辛子明太子、豚骨ラーメンは幾度も食べて参りましたが、福岡の隣県に住むにもかかわらず「川端ぜんざい」は初耳でした。気になってしまったからには川端ぜんざいを食べるためだけに2時間かけて博多入りです。
博多駅から博多駅前通りを1キロ程まっすぐ進んだところに川端商店街はあります。キャナルシティ博多と博多座を結ぶ全長約400メートルの商店街です。博多らしくラーメン屋がちらほらと目立つほかに、商店街らしい洋服屋、花屋、土産もの屋などが立ち並んでいます。そして商店街の真ん中あたりに川端ぜんざいが食べられる「川端ぜんざい広場」という店があります。
独特な雰囲気のある店先暖簾をくぐると、天井にまでとどきそうな迫力いっぱいの八番山笠、横一直線に壁に飾ってある法被の描かれたタイル、祭りのお役職別に柄がデザインされた手ぬぐいなどに目を奪われますにも祭りの音が聞こえてきそうな空間です。メニューが「ぜんざい」しかない自動発券機に一瞬どれにしようか迷ってしまったりもして。
焼きたてのお餅が2つ入ったぜんざいとご対面。身体がすこしあたたかくなって、全身に甘さが広がります。想像していた以上に甘く、隣にいる黄色いたくあんが時折そっと助けてくれます。この日は「席でお願いします」と言われるほど人が多かったのが印象的でした。やはり人気なのですね。
川端通りのすぐそばにある櫛田神社では、2に大きなお福さんが迎えてくれる節分大祭があります。5月は博多どんたく、7月には博多祇園山笠、10月には博多おくんちもあります。お祭りの後、少し寄り道をして川端通りでぜんざいを召し上がってみませんか。大正時代から受け継がれたこの甘さに会いにいってみてください。
注)博多3大名物は諸説あり。

(出口聡子)

川端通りぜんざい広場① 川端通りぜんざい広場②八番山笠