アートとともにひと、もの、風土の新しいかたちをさぐる

アネモメトリ -風の手帖-

特集 地域や風土のすがたを見直す、芸術の最前線

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#88
2020.09

これからの経済と流通のかたち 市やマルシェ編

2 万年青のオモテ市 京都・西陣

市やマルシェを通して、これからの経済や流通のかたちを考える2回目です。

前号では、京都市上京区から北区にわたる地域・西陣で開催される「環の市」を紹介した。女性写真家が「市をやりたい」と思い立ち、まわりの知人友人に声をかけ、自宅で始めたサロンのような市である。ものとつくり手に敬意をもち、ものを介して気持ちのやりとりをするような、風通しのいい小さなコミュニティが生まれつつあった。
今号もまた、西陣の小さな市を取り上げる。個人経営の飲食店「串揚げ万年青」(以下、万年青)による、食のみを扱う「オモテ市」である。夫婦で店をやりながら、7年以上にわたって毎月欠かさず続けてきた、ちょっとした名物市だ。
同じ西陣の、それもすぐ近くにありながら、2つの市は成り立ちもありかたもずいぶん異なっている。それは、市の面白さや可能性の広がりが実感できることでもある。
市を開き続けることは、万年青のふたりにとって、どんな意味があるのだろうか。そして、どのような変化が生まれ、この先へとつながっていくのだろうか。さまざまな関係性をたどりながら、見ていきたい。

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