アートとともにひと、もの、風土の新しいかたちをさぐる

アネモメトリ -風の手帖-

特集 地域や風土のすがたを見直す、芸術の最前線

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#28
2015.04

奥能登の知恵と行事 息づく豊かさ

前編:土地に根ざした学びの場、まるやま組の活動から

北陸は能登半島の最北端、奥能登。
江戸時代には北前船の航路として栄え、能登特有の文化を育んできた。日本海に突き出した半島という性質からか、時代の波に押し流されることなく、伝統や文化、土着の信仰などが、今に根ざしているように見える。

 奥能登に息づく知恵や慣わしを、それぞれの立場で楽しみ、受け継ぎ、伝えようとしているのが、まるやま組だ。
輪島市街から車で20分ほどにある、三井町市ノ坂。「まるやま」はその名の通り、小さな集落のはずれにある、こんもりとまるいなだらかな小山の呼び名だ。海に隣接した輪島の中心地とは違い、日本の原風景といった、田畑や雑木林が広がる。多様な生態系が息づき、集落の暮らしの中にあるこの地が、「まるやま組」と呼ばれる、学びの場だ。集まるのは、植物や昆虫、民俗学の研究者、醤油や酒のつくり手、神主、料理好き、学生、親、子ども、そして、集落のおじいちゃん、おばあちゃん……。顔ぶれも、ものを見る視点も多彩で自由だ。

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萩のゆきさん

まるやま組の中心にいるのは、東京やアメリカでの都会暮らしを経て、奥能登に移り住んだ、萩野さん夫妻だ。ご主人の紀一郎さんは建築家、奥さんの萩のゆきさんはデザイナーとして、仕事の面でも地域のひとたちとつながりながらフィールドを広げている。
萩野さん夫妻を中心として、集落内外から様々な立場の老若男女が継続的に集まり、2010年から活動が続く。
人々を引き寄せる、まるやま組とは何なのだろう。
能登に限らず、地方の過疎化が進む昨今に、古いもの、もとい、わたしたちが失いかけているものに、新たな価値を見出す、まるやま組の活動を追いかけてみた。

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2階の物干し場に吊るされた、和紙に包まれたお手製の柚餅子(ゆべし)と干し大根や藁に通した干し大豆

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