アートとともにひと、もの、風土の新しいかたちをさぐる

アネモメトリ -風の手帖-

特集 地域や風土のすがたを見直す、芸術の最前線

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#25
2015.01

工芸と三谷龍二

後編 生活工芸から、その先へ

木工デザイナーの三谷龍二さんを特集する後編は、三谷さんの場づくりと、「生活工芸」と名づけた工芸の流れについて、取りあげていきたい。
三谷さんはもの静かな紳士だが、実はとても熱いひとだと思う。もちろん、暑苦しさなどはみじんも感じさせないけれど、自身の実感から、こうしよう、と思ったことは、いつのまにか、ひょうひょうと始めてしまう。考えにぶれがないから、やりたいことの筋も通っていて、説得力がある。三谷さんの思いを受けとめると、まわりはたいてい一生懸命動こうとして、好循環が生まれていくのだ。そんなふうにして、地元・松本の「クラフトフェアまつもと」から派生した「工芸の五月」、ついで「六九クラフトストリート」が生まれ、さらには四国の高松でも「瀬戸内生活工芸祭」を立ち上げることになる。
この「生活工芸」とは、いったい何か。ひとと、ものと、生活のかかわりについて、今の時代の流れにこのような名前をつけたわけだが、大きな潮流が生まれたきっかけは何だったのか。
「生活工芸」についての問いを投げかけつつ、前編と同じく、インタビューを中心に、三谷さんの著書や年譜の言葉も取りあげながら、2000年代から現在までを取りあげていきたい。

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三谷龍二(みたに・りゅうじ)
木工デザイナー。1952年福井県生まれ。
1981年、長野県松本市に工房ペルソナスタジオを開設。陶磁器のように普段使いできる器を提案、多くの共感を得、それまで家具中心だった木工の世界を広げることに貢献する。

全国で個展を多数開催。
立体、平面作品も手がけ、伊坂幸太郎などの表紙の仕事も。
また「クラフトフェアまつもと「工芸の五月」の発足当初から運営に携わり、工芸と暮らしを結びつける活動を続ける。
2012年より「瀬戸内生活工芸祭(高松市)の総合ディレクター。

2011年3月11日に自身の作品を常設展示するほか、他の作家との個展や、イベントを開催するギャラリースペース「10センチ」をオープン。

著作に『木の匙『僕の生活散歩『生活工芸の時代(共同編筆(以上新潮社)、『工芸三都物語 遠くの町と手としごと(アノニマ・スタジオ)、
『三谷龍二の10センチ(PHPエディターズグループ)などがある。