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アネモメトリ -風の手帖-

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#165

東北の伝統工芸と繋がる、いくつもの入口をつくっていく
― 金盛友美

(2026.08.09公開)

東北の伝統工芸とのコラボレーションを通して東北の文化を伝えるブランド・Koquela(こけら)の中心にあるものは、主宰の金盛友実(かなもり・ゆうみ)さんが在学中に向き合った「伝統こけし」だ。
Koquelaでは、伝統こけしの精神を現代的なデザインに載せて提案するこけし製品をはじめ、伝統こけしに描かれる花模様をテキスタイルとしたバッグなど、軽やかな視点で伝統を日常に落とし込み、再定義。伝統こけしに留まらず、福島県の焼き物・大堀相馬焼と協働した製品も。
様々にオリジナル製品がある中、「Koquelaの一番の商品は、職人さんたちが本来つくっている伝統工芸」と語る金盛さん。今回は、金盛さんが魅せられた東北の伝統工芸の美しさ、そして職人たちのものづくりへの思いを、Koquelaの活動を通してご紹介いただく。

東北の伝統こけし – 伝統こけしとは、東北地方の温泉地を中心に受け継がれてきた伝統的なこけしの名称。ろくろで削り出した素朴な形と手描きの表情が特徴で、地域ごとに異なる技法や意匠によって系統分けされた造形が世代を超えて継承されている。対して昨今では、キャラクターを模したものや、ポップなモチーフの「創作こけし」も人気

東北の伝統こけし

「伝統こけし」とは、東北地方の温泉地を中心に受け継がれてきた伝統的なこけしの名称。ろくろで削り出した素朴な形と手描きの表情が特徴で、地域ごとに異なる技法や意匠によって系統分けされた造形が世代を超えて継承されている。対して昨今では、キャラクターを模したものやポップなモチーフの「創作こけし」も人気

金盛さん

金盛友実さん

———まずは、金盛さんの主宰するKoquelaについて教えてください。

Koquelaは東北の伝統工芸の造形や模様をモチーフにしたものづくりをしているブランドです。「地域の伝統」と「現代」を繋ぎ、 東北の多彩なデザインや文化を暮らしに届けたいという気持ちで、2021年の4月、私が京都芸術大学を卒業した次の月に立ち上げました。
伝統こけしを現代に合う形に再定義しながらつくるオリジナルこけしの他、職人さんたちが本来つくっている伝統こけしのプロモーションや卸し業にも力を入れています。ただ物を売って終わりではなく、商品をご購入いただいたお客様が東北に思いを馳せていただき、東北に訪れていただけるようなものづくりを心がけています。
私の役割は、職人さんとしっかり向き合い、彼らがどういう思いで世の中に作品を出したいのかをキャッチしながら、その思いをどうやってKoquelaの製品に載せていけるのか共に考えることです。

伝統こけしの美しさと晴れやかな色彩から、「こけし」と「麗しい」を合わせた「Koquela(こけら)」と命名。また、こけら落としのように、デザインを通じて東北の新たな物語を紡ぐ思いも込めた

伝統こけしの美しさと晴れやかな色彩から、「こけし」と「麗しい」を合わせた「Koquela(こけら)」と命名。また、こけら落としのように、デザインを通じて東北の新たな物語を紡ぐ思いも込めた

正月こけし ミニ正月こけし 製作:髙橋博斗(弥治郎系)

正月こけし
ミニ正月こけし
製作:髙橋博斗(弥治郎系)

正月こけし 制作:佐藤英裕(遠刈田系)

正月こけし
製作:佐藤英裕(遠刈田系)

———「正月こけし」は、伝統こけしの繊細な佇まいと木製玩具のような仕掛けとの取り合わせが新鮮ですね。

「正月こけし」は、年神様が宿るとされる鏡餅から、まるで木の妖精のような可愛らしいこけしが飛び出してくる、新年をお迎えするお守りのようなこけしです。
大学の卒業制作でつくったはじめてのこけし作品ながら製品化も叶い、Koquelaが生まれるきっかけの一つとなった思い出深い作品です。
こけしにどんなイメージを持っていますか? おばあちゃんの家の棚にあって、うっすら埃をかぶっているような、少し暗いイメージをお持ちではないでしょうか。その認識を覆し、こけしをもっと知りたいものにするにはどうすれば? という問いから始まりました。
ただ形を変えてお洒落なものにするのではなく、伝統こけしの本質、そこに込められた「五穀豊穣」や「無病息災」という願いを保ったまま、イメージをポジティブに変化させるには、お正月しかないと考えました。

卒業制作。 こけし制作:星 定良(弥治郎系)

金盛さんの卒業制作の一部。こけし工人の皆さんとの協働による賜物

卒業制作の正月こけしは、星定良(ほし・さだよし)工人に手掛けていただきました。その後、星さんから始まって、工人さんたちが「この人に会いに行ってみたらいいよ」とご紹介してくださって縁が繋がり、正月こけし以外にも、積木のように自由に模様の組み合わせを楽しめる「着せ替えこけし」や、伝統こけしに描かれた花模様を使ったテキスタイルのバッグなど、つくれるものが広がっていきました。

着せ替えこけし
 制作:新山 実(弥治郎系)
 –
 着物柄と穏やかな表情が特徴の弥治郎系こけし。世界中で注目されるモンテッソーリ教育にも通じる知育玩具に、手仕事の温もりと和の心をプラス

着せ替えこけし
製作:新山 実(弥治郎系)
–

着物柄と穏やかな表情が特徴の弥治郎系こけし。世界中で注目されるモンテッソーリ教育にも通じる知育玩具に、手仕事の温もりと和の心をプラス

スクエアトートバックB4 〈桜崩し Sakura-Kuzushi〉 〈桜崩し〉意匠:岡﨑幾雄(蔵王高湯系) – 〈桜崩し〉は、山形蔵王温泉を代表する伝統こけしの模様。蔵王温泉で最後の伝統こけしの名工・5代目岡﨑幾雄工人が大切に受け継いできたこの図案は、Koquelaにとっても特別なもの

スクエアトートバッグB4 〈桜崩し Sakura-Kuzushi〉
〈桜崩し〉意匠:岡﨑幾雄(蔵王高湯系)

〈桜崩し〉は、山形蔵王温泉を代表する伝統こけしの模様。蔵王温泉で最後の伝統こけしの名工・5代目岡﨑幾雄工人が大切に受け継いできたこの図案は、Koquelaにとっても特別なもの

———大学時代のことをお聞きします。京都芸術大学通信教育部の空間演出デザインコースへは社会人入学ですが、ご入学のきっかけは?

こけしの研究をするために入ったのではなく、偶然なんです。義理の祖母が卒業生で、本当に豊かな時間だったと、会うたびに勧めてくれたんです。私はもともと芸術が好きで、タイルのモザイク画を趣味で制作していたので、合うだろうと思ってくれたのでしょう。
私はそれまで恩師と呼べる先生に出会えなかったのが自分の中で一つ惜しかった点だったのですが、入学説明会のときに上田篤先生に「私は恩師が欲しいんですけれど、ここで得られますか?」と質問をして、先生が「できるよ」とおっしゃってくださったのが決め手でした。
大学では「顕微鏡で見るようなレベルで、対象をよく見るんだよ」と教えられて、伝統産業の背景を考え尽くす時間がもてました。その土壌があるから、今職人さんたちと共に活動ができていると思います。

新山吉紀工人(弥次郎系)の工房

新山吉紀工人(弥次郎系)の工房

弥治郎系の皆様と

新山吉紀工人(左)と工房の皆さんと

———元々こけし好きだったわけではないんですね。

実は全然だったんです(笑)。父がこけしの産地の生まれなので、おばあちゃんの家にはいっぱいこけしがあって、あまりにも当たり前のもので、むしろ私もどこか怖いものくらいに思っていました。
私は宮城の仙台市出身ですが、地域振興のデザインの授業で、初めて自分の出身地を外から見たとき、私って結構いい地域に住んでいたんじゃないかな、という気持ちが湧いて。震災を経験しているので、いつかは地域の役に立てたら、と考えていた自分のことも、故郷を振り返る機会をいただいて思い出しました。
東北に根付いている一番分かりやすい芸術を考えたとき、こけしが頭をよぎりました。そして、自分と周りとのこけしの評価が違うことにも気づきました。京都の大学ならではだと思いますが、周りの人たちに伝統に対するリスペクトがすごくあって、私の「当たり前」には、実はすごく価値があったんです。
こけしを色紙や習字紙に描いた「こけし絵」に出会ったことも大きかったですね。描かれたこけしの花模様の美しさに受けた衝撃は、今でも忘れられなくて。
大学で再発見した伝統こけしへの興味は、Koquelaの前身となった、東北の伝統工芸の職人さんたちを取材し、共に製品を開発していく「こだまProject」に繋がっていきました。

岡崎幾雄工人による伝統こけし

岡崎幾雄工人による伝統こけし

こけし絵 作:岡﨑幾雄(蔵王高湯系)

岡﨑幾雄工人によるこけし絵

———伝統こけしの一番の魅力は何でしょうか。

自然と人が共に暮らしていく中で生まれた、普遍的な美の形象にあると思います。造形と模様を代々受け継がれている家族の温かさに感動します。
今と比べて情報が全くない時代に、その土地の自然を見て図案を考えた人がいたんです。北欧ブランドの花柄よりもずっと古い歴史をもつ図案は、自然の本質的な美しさを映したものだと思います。
卒業研究を伝統こけしと決め工房を訪ねていた頃、遠刈田(とおがった)系の佐藤英裕(えいひろ)工人に、「今は可愛らしい創作こけしが売れていますが、創作こけしはつくらないのですか」と尋ねたことがあります。英裕さんは「伝統こけしの模様や形は、先代から自分が受け継いだもので、もしも伝統こけしが売れなくなったとしても、私はずっと伝統をつくり続ける」と答えてくれました。私は、売れなくてもつくり続けるとはどういういうことなんだろう、とびっくりしたのですが、同じ日に英裕さんの描彩(びょうさい:木地に絵付けを施す工程)を見せてもらい、その言葉の意味を理解しました。というのも、英裕さんが一人で描いているようには到底思えなかったんです。英裕さんのお父さん、おじいさん、ひいおじいさんの姿も見えたような感覚があって、これはもう職業を超えてしまっているなと感動して。家族で繋いできた美しいもの、温かいものを守り続けるピュアなものづくりの姿勢が、伝統こけしに感じる一番の魅力です。

佐藤英裕工人による、ろくろ線(こけしをろくろで回転させながら、一瞬で均一な線を引く技法)

佐藤英裕工人による、ろくろ線(こけしをろくろで回転させながら、一瞬で均一な線を引く技法)

———伝統こけしを取り扱う上で、大切にしていることは何でしょうか。

系統の垣根を超えて、数十人のこけし工人さんの作品を扱っていますが、それこそがKoquelaの一番の価値で、「Koquelの一番の商品は、伝統こけしです」とまずは言いたいんです。
正月こけしは東京の大手百貨店さんにもお取り扱いいただきましたが、一緒に伝統こけしも持っていき展開しました。Koquelaの製品をきっかけに、伝統こけしも見てみませんか? というきっかけをつくりたかったんです。最初の一本を手に取ってもらうために、いかに、いい意味で「思っていたものと違う」と感じていただける売り場をつくれるか考えていきます。

お雛様こけし 制作:髙橋博人(弥治郎系) – お雛様の十二単衣は、上皇后陛下ご成婚時の色合わせを忠実に再現し、こけし工人ならではの造形美、伝統模様をあしらった。製材時に白い木を選び抜き、薬剤による漂白を行わずに仕上げた一品

お雛様こけし
製作:髙橋博斗(弥治郎系)

お雛様の十二単衣は、上皇后陛下ご成婚時の色合わせを忠実に再現し、こけし工人ならではの造形美、伝統模様をあしらった。製材時に白い木を選び抜き、薬剤による漂白を行わずに仕上げた一品

髙橋博斗工人による木地挽き(ろくろを使って木材を削り、こけしの土台を作る工程)

髙橋博斗工人による木地挽き(ろくろを使って木材を削り、こけしの土台を作る工程)

———Koquelaがつくっているものは、東北の伝統工芸に繋がる扉なのですね。

作品をお預かりする工人さんには「この工房にお客さんを呼べるように頑張りたい」と伝えています。ご購入いただいたお客様が東北にいらした際に「是非つくり手に会ってみたい」と思ったとき、迷わずたどり着けるよう、Koquelaで扱う伝統こけしには工人の名前が分かるシールが貼られています。工人さんにお話を聞くと、つくっているところを見にきてほしいと皆さんおっしゃるので、私たちも頑張りたいんです。
以前、伝統こけしの技法を用いた雛人形をご購入いただいたお客様が、制作された髙橋博斗工人に会いに来てくれたことがありました。そのことを教えてくれた工人さんから「金盛さんの活動は間違っていないから、そのまま頑張って」と言っていただけたのは、本当に嬉しかったですね。

ふたたび-Soma Dual Layer Tumbler- 制作:吉田直弘(大堀相馬焼 空想窯)、山田慎一(大堀相馬焼 錨屋窯) 2024年度 第49回全国伝統的工芸品公募展 一般財団法人伝統的工芸品産業振興協会賞受賞 – 左から「青日々」「翠緑」「左馬」「左馬グリーン」。吉田直弘氏による「青日々」「翠緑」は、大堀相馬焼の特徴の一つ、自然に生まれる偶然の芸術「青ひび」と、爽やかな翠緑のバイカラーが特徴。山田慎一氏による「左馬」に描かれているのは、大堀相馬焼のシンボルである駒絵(左馬:さま)。左馬は「右に出るものはいない」「うまくいく」という意味の込められた縁起のいい図案

ふたたび-Soma Dual Layer Tumbler-
製作:吉田直弘(大堀相馬焼 空想窯)、山田慎一(大堀相馬焼 錨屋窯)
2024年度 第49回全国伝統的工芸品公募展
一般財団法人伝統的工芸品産業振興協会賞受賞

左から「青日々」「翠緑」「左馬」「左馬グリーン」。
吉田直弘氏による「青日々」「翠緑」は、大堀相馬焼の特徴の一つ、自然に生まれる偶然の芸術「青ひび」と、爽やかな翠緑のバイカラーが特徴。
山田慎一氏による「左馬」に描かれているのは、大堀相馬焼のシンボルである駒絵(左馬:さま)。左馬は「右に出るものはいない」「うまくいく」という意味の込められた縁起のいい図案

———Koquelaでは、伝統こけしに限らず、東北の伝統産業との協働をされています。「ふたたび」もその一つですね。

「ふたたび」は、福島県で約350年の歴史をもつ焼物・大堀相馬焼(おおぼりそうまやき)とのコラボレーションで生まれた作品です。保温性にも優れ、繰り返し使えるエコな選択として、大堀相馬焼の伝統的な美しい手仕事を日常に持って出られるタンブラーを提案しました。
大堀相馬焼の特徴の一つ、器の内側と外側が二重構造になっている「二重焼(ふたえやき)」を見たとき、これは日本一優しい焼き物だ、と思いました。手が熱くならないように二重にするって、すごく手間じゃないですか。そんな優しい焼き物が、民窯(みんよう)でつくられ日常で親しまれてきたことに感動しました。
大堀相馬焼の産地、浪江町は東日本大震災の原発事故で避難地区になり、40軒あった窯元が20軒に。「大堀相馬焼が続いていくためだったら私たちはなんでもやる」という職人さんたちの言葉が印象的でした。
「蓋」をして「旅」に出かけられるから「ふたたび」。再生という意味の「ふたたび」。サステナブルな精神と、震災からの力強い再興ヘのメッセージを込めています。

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OMAMORI Babyシリーズ―東北の伝統模様を贈る― ベビースタイ ベビータオル 〈桜崩し〉意匠:岡崎幾雄(伝統こけし 蔵王高湯系) 〈左馬〉意匠:山田慎一(大堀相馬焼 錨屋窯)

OMAMORI Babyシリーズ―東北の伝統模様を贈る―
ベビースタイ
ベビータオル
〈桜崩し〉意匠:岡崎幾雄(伝統こけし 蔵王高湯系)
〈左馬〉意匠:山田慎一(大堀相馬焼 錨屋窯)

———この夏の新作には、〈桜崩し〉と〈左馬〉の図案がさりげなく寄り添うベビー用品も発表されました。

〈桜崩し〉の岡崎幾雄工人が、「赤ちゃんの頃から伝統模様に触れてもらって、こけしの産地や文化を知ってもらえたらいいよね」というお話をしてくれたことから着想したものです。私自身の出産もあり、ちょうど今、赤ちゃんのためのものをつくりたいと思いました。
いきなり伝統こけしは買えないかもしれないけれど、こけしに込められた願いを知ってくれたら入りやすいかな、布にデザインされていたら入りやすいかな、と考えながらつくりました。入口は何個あってもいいですよね。私もこけしに魅せられた最初のきっかけは、紙に描かれたこけし絵でしたから。

———地方の文化は、その地方のもの、こけしは東北のもの、と無意識に引かれた線を超えて、東北の文化を外に伝えていくために大事にされていることは何でしょう。

私としては、線はあるのかな、線なんてないんじゃないかな? 超えるべき垣根も、本当はないんじゃないかな、と思っていて。まだ知らないだけで面白い話があるんですよ、と本当に軽やかな気持ちで、まだ興味を持てていない方にお知らせしたいと思っています。今から知れるなんてラッキーですよ。

ベビーかぶと 制作:平賀輝幸(伝統こけし 作並系)、山田慎一(大堀相馬焼 錨屋窯) - スヤスヤと眠るKoquelaの五月人形は、宮城伝統こけし・平賀輝幸工人と福島大堀相馬焼 錨屋窯・山田慎一氏との合作によるもの。子供の健やかな成長を願い、えじこと呼ばれるカゴに入れて育てていた東北地方の文化を表現

ベビーかぶと
製作:平賀輝幸(伝統こけし 作並系)、山田慎一(大堀相馬焼 錨屋窯)

スヤスヤと眠るKoquelaの五月人形は、宮城伝統こけし・平賀輝幸工人と福島大堀相馬焼 錨屋窯・山田慎一氏との合作によるもの。子供の健やかな成長を願い、えじこと呼ばれるカゴに入れて育てていた東北地方の文化を表現

———Koquelaの製品にある誠実さとあたたかさは、職人さんたちの繋いできた思いと金盛さんの思い、その重なりの中にあるのですね。最後に、今後の展望をお聞きします。

東北の伝統工芸が持つ子供を思う気持ち、幸せを願う気持ち、そんなあたたかい心を次の世代に手渡していくのが私の目標で、それを叶えるために、私にはどんなことができるのかを日々考えていくのが、今後の展望です。
すごく素敵なものをつくれるけれど、それを広くお見せするのが苦手な職人さんがたくさんいます。「金盛さん、ちょっと聞いてよ」と気軽に声をかけてほしいです。

金盛さんが製作した岡崎幾雄工人の作品を紹介するリーフレット

岡崎幾雄工人の作品を紹介するリーフレット

岡崎幾雄工人が、自分の作品を人に伝えるためのリーフレットがあったらいいと思っている、と打ち明けてくださったことがあって、すぐに「私がつくります!」とつくらせてもらって、こけしと物々交換してもらったり、そんな瞬間が嬉しくて。
こういうことができたらもっとお客さんに喜んでもらえるんじゃないか、魅力を伝えられるんじゃないか、という職人さんたちの持っているさらなるクリエイティブな心を潰さずに、一緒に叶えていける存在になりたいですね。

取材・文 辻 諒平
2026.06.23 オンライン通話にてインタビュー

ポートレート2

金盛友実(かなもり・ゆうみ)

宮城県出身。京都芸術大学 デザイン科空間演出デザインコースにて伝統工芸、地域振興デザインを専攻。卒業研究のテーマに伝統こけしを選び、各系統を訪ねる
それぞれの風土を纏う造形や胴体の模様の美しさに感銘を受け、こけし工人協力のもと卒業後にKoquelaを設立。家ごとに伝わる造形、模様を使って伝統と現代を繋ぐデザインを考案。TOHOKU Renaissanceを掲げ、暮らしを豊かにするプロダクトを制作している。 その他、全国の伝統工芸の作り手を取材し想いを届けるメディア「こだまProject」を運営。日本の伝統や文化を身近に感じ、再び目を向け、訪れてもらうための仕組みを作ることを目標として活動している。

Koquela
https://www.koquela.com/

Instagram: koquela


ライター|辻 諒平(つじ・りょうへい)

アネモメトリ編集員・ライター。美術展の広報物や図録の編集・デザインも行う。主な仕事に「公開制作66 高山陽介」(府中市美術館)、写真集『江成常夫コレクションVol.6 原爆 ヒロシマ・ナガサキ』(相模原市民ギャラリー)、「コスモ・カオス–混沌と秩序 現代ブラジル写真の新たな展開」(女子美アートミュージアム)など。