雪にとざされた時期の、長野県飯山市の小菅(こすげ)神社に行ってきました。小菅は、全国的にも有名な戸隠、飯綱とならぶ北信濃の三大修験場として、かつてはたくさんの修行僧がいて多くの宿坊があり、とても繁栄していたそうです。しかし、スキーや観光などで今でも賑わっている戸隠や飯綱と違い、現在の小菅はとてもひっそりしています。飯山市街地から千曲川にかかる大関橋を渡り、東に進むと急に雰囲気が変わり、仁王門(西大門)から先にお宮や宿坊跡などが現れます。
修験道の祖である役小角(えんのおづぬ)が白鳳8(680)年に小菅山を開山し、平安時代後期に熊野修験が入り込み繁栄。戦国時代に上杉・武田による争いもあり建物の多くが消失しますが、その後江戸時代に入り里人によって整備や統治は続いていきます。そして明治初期の廃仏毀釈運動によって、それまでの小菅山元隆寺(こすげざんがんりゅうじ)から小菅神社となり、現在に至るそうです。
小菅には2月初旬に訪れたのですが、暖冬の影響で雪は例年よりは相当少ない様子。それでも参道やお堂の周り、小道などは、深い雪に覆われています。進めるところを探して散策していると、住民の男性が声をかけてくれて、現在の小菅の暮らしの様子、凍っていて危険な場所、奥社への行き方などを教えてくれました。その後、雪かきをしていた女性は「雪深いところでの生活は大変だし、若い人たちはみんな街に出て行ってしまって寂しい。けど、この雪がないと春に雪解け水ができない。雪解け水が向こうの北竜湖に流れるおかげで農業ができるんだから、雪はありがたい」と語ってくれました。
5月ごろになると雪が溶けて参道が開き、奥社まで行けるようになるそうです。そして2019年の7月中旬には、3年に1度のお祭りである「松子」こと、柱松柴灯神事(はしらまつさいとうしんじ)が行われます。雪が溶けるころに、また来ようと思っています。
(山貝征典)