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アネモメトリ -風の手帖-

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#223

根っこがメイン。伝統野菜「仙台せり」
― 宮城県名取市

「根っこの部分を食べる野菜は?」と聞かれた時に、あなたは何をイメージしますか?
にんじん、大根、さつまいも、カブなどなど、比較的誰もが知っているメジャーな野菜を思いつくのではないでしょうか。
しかし、宮城県民の中では「せり」が最初に思い浮かぶ人も、少なくないと思います。
せりといえば、「春の七草」として知られており、一年の最初の節句である「七草の節句」に七草がゆを食べることで無病息災の願いをこめる、古くからの日本の伝統行事として親しまれています。
独特な苦味と香りがくせになるせりですが、実は「根っこ」が一番美味しいのではないかと感じています。名取市では、根っこの部分まで丸ごと食す「せり鍋」が新名物として根付いてきています。
名取産のせりのポイントは、茎の太さ・根っこの太さで、葉っぱ、茎、根っこはそれぞれ違う味と食感が楽しめます(註1)。

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お皿にどっさりと乗ったせりの茎や根っこを初めて見た方は、「え? この根っこの部分、本当に食べられるの?」とびっくりされるかもしれませんが、せり鍋はせりを丸ごと食べ尽くすことができる、また、根っこの旨みをふんだんに味わうことができる鍋料理です。

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シャキシャキとした食感と豊かな風味で、地元民を長年魅了しているせりですが、根っこは「おひたし」や「てんぷら」にしても美味しく食べられます。

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地元の郷土料理でありながら、調理方法一つで様々な味わいを楽しめるので、せりの奥深さを再認識しているこの頃です。
美味しさを堪能するのもいいのですが、実際のせり栽培も取材してみたいと思いました。
歴史を知ることで、また味わいに変化がありそうです。

参考
(註1)
名取市観光物産協会「名取のせり鍋特集 宮城仙台のご当地グルメ」、 https://www.kankou.natori.miyagi.jp/feature/serinabe

(髙倉彩乃)