アートとともにひと、もの、風土の新しいかたちをさぐる

アネモメトリ -風の手帖-

特集 地域や風土のすがたを見直す、芸術の最前線

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#21
2014.09

<ひと>と<もの>で光を呼び戻す 東京の下町

後編 愛着をもって、蔵前に根ざす

東京の典型的な下町として知られてきた台東区蔵前・浅草橋界隈が、「日用品のまち」として脚光を浴びるようになったのは、10年ほど前から。

洒落た生活道具の店や文具店が個性的な日用品を扱い、路地裏や雑居ビルにはデザイナーやカメラマンがアトリエを構える。並びの町工場からは、トントン、ガッシュガッシュと、ものづくりを支える機械の音が聞こえてくる。
ターニングポイントのひとつに「台東デザイナーズビレッジ」の誕生があり、そこから派生したイベント「モノマチ」が町全体に活気を与えたことは、前編で紹介したとおり。けれども契機はそれに限らず、多くの作り手たちが時を同じくして偶発的にこの場所に集まってきたことも大きなきっかけとなっている。彼らは誰かに誘われたわけでもなく、このまちにやってきて、自身の営みの拠点を据えた。
まちに惹かれた理由は千差万別。そこから派生して、彼らはおのおのの仕事を介して、地域の人々と関わっていった。一人一人の動きは実にささやかだし、彼ら自身も地域のために行動したわけではない。けれども結果としてそうしたささやかな試みがこのまちを少しずつ変えていった。
まちはそこに縁を結んだひと一人一人によってつくられているということを、このまちを知れば知るほど実感する。後編にあたる今回は、このまちでものづくりに携わるひとたちそれぞれの、「まちの愛し方、関わり方」に光を当てる。

「月イチ蔵前」の「サルビア」にて

「月イチ蔵前」の「サルビア」にて