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アネモメトリ -風の手帖-

特集 地域や風土のすがたを見直す、芸術の最前線

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#54
2017.11

まちと芸術祭

2 札幌国際芸術祭2017の公式ガイドブックを片手に(第2日目)

今、例えば2017年8月28日、月曜日、13時57分の札幌市立大学芸術の森キャンパスにいるとして。
札幌国際芸術祭2017 で発表された毛利悠子「そよぎ またはエコー」を見に来たとして、約15分間で見る。「約15分間」というのは『完全コンプリート 札幌へ アートの旅 札幌国際芸術祭2017公式ガイドブック』によるおすすめコース「かけあしSIAF、2日で制覇」プランで指定された鑑賞のための所要時間である。13時57分に毛利悠子の展示会場に来て、14時12分には出るのである。そして札幌芸術の森のなかを徒歩で10分ほど移動し、14時22分には「NEW LIFE :リプレイのない展覧会」を約103分かけて見る。そう書いてあるのである。
別のプラン「たっぷりSIAF、芸術祭の旅を満喫する3日間」でも事態は変わらない。12時22分から12時37分の15分間で「そよぎ またはエコー」の展示を見る。むしろその後は慌ただしい。「NEW LIFE :リプレイのない展覧会」は「約88分」に短縮されているからである。3つ目のプラン、「じっくりSIAF、大友ゲストディレクターの『サブストーリー』で巡る3日間」でも15分間というのは同じである(だが、「NEW LIFE :リプレイのない展覧会」は「約125分」というふうに大幅にアップしているが)。
「かけあし」であろうが「たっぷり」であろうが「じっくり」であろうが、この毛利悠子のインスタレーション「そよぎ またはエコー」の鑑賞所要時間は同じ「約15分間」というのが、ガイドブックのプランでの設定である。
ところで「そよぎ またはエコー」の会場は、全長140メートルに及ぶ空中に浮かぶ廊下であり、札幌市立大学の校舎の一施設である。デザイン学部等の校舎を繋ぐ「渡り廊下」ともいえるだろうが、ギャラリー空間としても利用されているようである。その名も「スカイウェイ」という。その突端は宙へとはみ出しており、「空への直通の通路」という感覚を得られる。毛利悠子はその先端部分ともいうべき場所に、ピアノを置いた。

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ピアノは1台ではない。スカイウェイの「先端」から、後ずさりしてみたのが下の写真だが、ピアノが2台設置されているのがわかる。やはり自動演奏し、内部をさらけ出している。

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会場入り口付近から奥を見る

ピアノだけではない。街路灯が、恐竜のように首をもたげているように見えるが、さらに奥に、この写真ではわかりにくいが、2本の街路灯が植物のように置かれている。