4)都市でも地域でも いくつもの選択肢から
100個のゴミがあるとしたら、減らす難しさはそれぞれ違う。一人ひとり感覚も忙しさも違うからこそ、ゼロウェイストの可能性は無限大で、どんな場所でも誰もができる。自分にとって一番楽で簡単なことから始めてほしいと服部さんは言う。
———消費者の買い物の仕方が変わることも、すごく大事だなとは思っていて、例えば献立を考える時も、今日は何にしよう? から入るとゴミが出やすいけど、あるものを生かして料理しようとした瞬間に、ゴミを減らすのが簡単になることもある。持ちものを使い捨てでなく長く使っていけるものに変えるとか、使う日用品の種類を減らす、都市に住んでいたり徒歩圏内に友達がいる人だったら共同購入を活用するとか、方法は色々あります。
発想を転換して、自分がやりやすい方へと選択肢を広げる、それはどこにいても誰もができそうな楽しいチャレンジだ。例えば麻子さんは材料を買わず、その時家にあるもので常備菜をつくる。白菜の代わりに、大量にあったキャベツでつくったキムチはそのひとつだ。こうでなければという固定観念から解放されたレシピはアレンジも自由で、食材の無駄を出さないためのライフハックになる。トイレットペーパーや納豆など、ストック可能なものは共同購入する。ある程度の量を発注するなら輸送燃料やコストの浪費にはつながらないし、定期的に一定量を買うことによって生産者の応援にもなる。嗜好の近い仲間同士のコミュニティが生まれる。何を誰から買うか、少し意識を払うだけで資源の無駄遣いをせず、コストもゴミも減らすことができ、お互いを励まし支え合える。むしろ消費行動だけを考えるなら、都市部のほうが人、もの、情報の密度が高いぶん、可能性がひろがる面もあるかもしれない。
溢れる情報に振り回されず、無理なく楽しく継続できる方法を選ぶこと、そして何を選ばないかを決めること。今の暮らしを本当に自分が望み、心地よいと感じているか、身の丈に合った暮らしをしているかを確かめることから、ゴミの自分ごと化が始まっている。