5)一市民として行政に声を届ける
先月から香美市の地球温暖化対策地域協議会の委員となり、13年ぶりに役所のゴミの課との接点ができたという服部さん。かつて、その裏側にいてもどかしかったり、あきらめたりしていたことに対しても、この間の知識や経験を経て思うところがあり、改めて市民の目線からゴミの処理についての要望を届けられることに希望を感じているという。
———もうありとあらゆるところに手を入れられるはずなんです。例えば分別ひとつとっても複雑で、市民が混乱するようなシステムになっている。個別に有料袋で出す必要があるので、うちみたいにゴミを減らせば減らすほど、袋がいっぱいになるまで罰ゲームみたいに家のなかに溜め置く期間が長くなることになる。分別を整備してすっきり出しやすいシステムをつくるのは決して不可能じゃないはずなんですけど。でも市民の側にも声をあげる人がまだ少なすぎて、自治体もニーズを多分あんまり感じてないんでしょうね。
葉山町では服部さんが退職した後、同僚たちがゴミの削減に向けて努力した結果、瓶1本からでも出せる資源ステーション方式が導入された。ゴミ半減を目指して大々的な変革を図る取り組みに、議会では反対の声も上がったが、まちの自然豊かな環境を守り、厳しい財政状況を改善するため自治体と住民との協働で根本的な転換が実現した。ひとりの市民としてゴミ処理のシステムづくりに参加し、協力することで快適なゴミ出しにつながると思えば、ゴミ行政も他人ごとではなくなる。ときにはゴミに対して意識的な取り組みをする自治体をチェックしてみるのも面白そうだ。他の地域の取り組みを参考にすることで、自分の暮らすまちにとっても、よりよいゴミ処理の方法が見つけられるかもしれない。