アートとともにひと、もの、風土の新しいかたちをさぐる

アネモメトリ -風の手帖-

風信帖 各地の出来事から出版レビュー

TOP >>  風信帖
このページをシェア Twitter facebook
#81

草間彌生 ALL ABOUT MY LOVE
― 長野県松本市

長野県松本市出身の前衛芸術家・草間彌生さんによる大規模な展覧会「草間彌生 ALL ABOUT MY LOVE 私の愛のすべて」が、松本市美術館で開催されています。この展覧会は松本市美術館オリジナル企画で単独開催、日本初公開作品もあるという、贅沢なものです。
初期の作品から最新作まで、絵画や彫刻、映像やインスタレーションなど約180点の作品が展示されています。その中でも一番印象に残ったのは、近年すごい勢いで制作されている、キャンバスが正方形で統一された色鮮やかな最新シリーズ「わが永遠の魂」です。このシリーズは2009年から制作がスタートしていて、ここ数年でこれだけのペースで制作が続いているそのパワーに圧倒されます。現在では550点を超えるシリーズとなっているそうで、今回の展覧会ではそのうち68点を見ることができます。スクエア作品がぎっしりと展示されている様子は、ひとつひとつの作品と同時に、壁面全体・空間全体が一体になっているようでもあり、しかし圧迫感はまったくなく、軽やかで明るいなと感じたのが印象的でした。
会期中松本市内では、美術館以外でもたくさんの場所で草間作品に触れることができます。松本駅に降り立つとバスターミナルや周遊バスに配された水玉がさっそくお出迎え。広告やフラッグなども各所に点在しています。その他市内の新聞社ビル、ホテル、ショッピングセンター内などにも作品やポップアップショップなどが点在し、カフェやレストランでも特別メニューが楽しめます。都市部の大きな美術館や国際展で目にする草間作品とはまた違った、作家の出身地松本でしか味わえない景色や空気感、街の時間の流れの中で、作品鑑賞を楽しみましょう。

「草間彌生 ALL ABOUT MY LOVE 私の愛のすべて」は、2018年7月22日まで松本市美術館で開催。https://kusama2018.com

山貝征典

松本駅のお城ロを出たところ。バスも水玉

松本駅のお城ロを出たところ。バスも水玉

新聞社のビル内での展示(期間限定)

新聞社のビル内での展示(期間限定)

大型連休でにぎわう松本市美術館

大型連休でにぎわう松本市美術館