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アネモメトリ -風の手帖-

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#206

0(ゼロ)コロナ北京の歩き方
― 中華人民共和国 北京市

北京は、中国の首都であり古都でもあります。歴史的なものはもちろん、近代的なものも一度で見られるのは北京の魅力と言えるでしょう。コロナ前までは日本からの旅行客も多かったですが、今は入国さえ厳しく規制されています。そこで今回は、0(ゼロ)コロナを掲げる北京の、2022年の現状を少しお伝えしたいと思います。
5月のメーデー以降、北京では2ヵ月間の大規模な外出規制措置が取られました。学校はオンライン授業となったり、多くのオフィスも在宅勤務になったりしました。7月1日より通常モードに戻ったものの、3日に一度のPCR検査が義務付けられました。簡易検査場は町中にあります。この検査結果は、「健康宝(Health Kit)」というスマホアプリに反映され、施設や商店に入る前にチェックされます。施設や商店のQRコードをアプリから読み込むと、自身のPCRの結果が表れると同時に行動の軌跡がメモリーされる仕組みです。しばらくこの「健康宝(Health Kit)」は必須アプリになると思われますので、北京へお越しの際はお気を付けください。

プリント

スマホアプリだけでなく、北京の人々の娯楽にも変化が起こっています。写真は、世界遺産である頤和園(いわえん)内の昆明湖に続く水路で、かつて西太后が避暑のためにやってくる際使っていたそうです。水路沿いは整備されており心地よく、我が家からここを歩き頤和園の南門まで30分ほどなので散歩にいい距離です。この水路では、これまでひっそりと釣りをする人や、お年寄りが季節を問わず水泳をする姿が見られました。しかし、最近は訪れる人の層が幅広くなりました。ボートで遊んだり泳いだりする家族連れやカップルが増え、とてもにぎわっています。また、堤防の上にはシートを広げたり、テントを立てたりする人もいます。室内の施設が閉鎖していたことや、遠くに行くのも大変なため近場で気軽に楽しめるスポットとしてここが注目されるようになったようです。まだしばらく続くであろう0コロナ対策により、北京の生活はどのように変化していくのか今後も注目していきたいと思います。

(厳 有佐)