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アネモメトリ -風の手帖-

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#4

ホームスパンをご存じですか? 岩手の誇る毛織物 homespun
― 岩手県盛岡市

「ホームスパン(homespun)」は「家庭で紡がれた(hand woven)」 、「手織り」の毛織物のことです。明治時代にイギリスから伝えられました。現在、手紡ぎ・手織りのホームスパンは日本の中で岩手県の盛岡市・花巻市周辺のみに産業として残っています。他の毛織物と比較にならないほどの暖かさ、肌に触れてもちくちくしない柔らかさ、複雑な色合い、抜群の耐久性を持った、毛織物の最高級品です。
このホームスパンは株式会社、家内工房、個人作家などでつくられていますが、いずれも小規模な工房です。輸入した原毛を洗い、染め、梳いて毛綿にし、それを手で紡ぎます。服地、マフラーなどの小物、編み物用など必要に応じて撚りの強さ、太さを変え、均質に糸を縒る作業は熟練の技と気の遠くなるような根気が必要です。それらの糸を揃え、機に架け、織っていきます。服地は仕上がるまで
数ヵ月かかります。
私が見学させていただいた「みちのくあかね会」は、古い平屋の建物の中にありました。原毛や、色とりどりに染められた毛綿、紡いだ毛糸、たくさんの織機がところ狭しと並んでいました。その中で女性たちの明るい笑い声が響いていました。岩手の人の地道で気長で明るい性格がそのまま表れたような、
暖かいホームスパンです。
宣伝下手な県民性が災いして、なかなか広く知られることのないホームスパンですが、各工房や「手作り村」では機織り体験をすることができます。私も昨年、マフラーを2本織りました。姫路に住む6歳の孫が昨春帰省した時
には、手作り村でコースターを織りました。「岩手に行ったらまた機織りがしたい」とのことで、今年の春にもまたコースターをつくりました。この孫の記憶の中には岩手の自然の美しさと共に「ホームスパン」が楽しい思い出として残っていくことでしょう。
世界で唯一の「手紡ぎ・手織りの毛織物」、homespun
機会がありましたら、是非手に取ってみてください。

(福島雪江)

「みちのくあかね会」工房の外観

「みちのくあかね会」工房の外観

ホームスパンの服地

ホームスパンの服地

指導してくださった高橋先生。優れた糸撚りと織りの技を持っている技術者です。

指導してくださった高橋先生。優れた糸撚りと織りの技を持っている技術者です。