アートとともにひと、もの、風土の新しいかたちをさぐる

アネモメトリ -風の手帖-

特集 地域や風土のすがたを見直す、芸術の最前線

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#45
2016.11

本、言葉、アーカイヴ

後編 共有し、受け渡していくために

若林地区・荒浜の日差しは強烈だった。雑草が茂る平らな土地の向こうには、まだ新しい防潮堤が水平に伸びている。その上に、まぶしいほどの青空が広がり、太陽がぎらぎらと照りつける。まばらに並ぶ松の木のこちら側には、建物の基礎や、タイルの浴槽などが残る。そこに掲げられた、黄色の三角旗。平らな景色のなかで、その色はひときわ鮮やかだった。

仙台市内から車で40分ほどのこの場所は、東日本大震災の大津波でほとんどが流された。とはいえ、初めて訪れたわたしたちにとって、かつてあったというすがたを想像するのはとても難しいことだった。立ち並ぶ住宅やそこに住むひとたち、夏に咲く昼顔、漁に出る船……。以前のようすを話で聞き、一角に展示されていた写真を見たり、看板の文字を眺めることで、ようやく少しだけ、こうであったかという像をぼんやりと結べた。

「その前」を知らなければ、語られ、描かれ、撮影された記録を手がかりに、残されなかった、残れなかったものを想像していくしかない。
震災後の東北では、さまざまなひとびとが、さまざまなかたちで記録を残し、伝えようとしつづけている。仙台と宮城においては、文化複合施設「せんだいメディアテーク」がその役割を多く担っている。数々の取り組みのプラットフォームとして、できるかぎりひらいたありかたで、ていねいにアーカイヴをつくり、それを生かすための工夫を重ねている。
「その前」を、どのように今とこれからにつなげていくのか。記録を残すための取り組みについて、アーティストや詩人、NPOの活動家などに伺ってみた。

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若林地区荒浜の今と震災後の風景(動画提供:3がつ11にちをわすれないためにセンター/せんだいメディアテーク、記録:高野裕之) / せんだいメディアテークとアーカイヴ資料