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アネモメトリ -風の手帖-

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#45

富山のかまぼこ
― 富山県富山市

「かまぼこ」はみなさん食べたことがあると思いますが、「昆布巻」「細工かまぼこ」はいかがでしょうか。
富山県は年を通して海の幸に恵まれています。特に白身の魚は種類も多く獲れ、かまぼこに加工されます。かまぼこは家庭でも常に食されるなじみの一品です。富山県の人々にとっての一般的なかまぼこは、通称「赤巻」と呼ばれるもの。写真を見ていただくと分かる通り、赤巻は、赤いすり身シートで白すり身を巻き上げて蒸したかまぼこです。歯ごたえの良いかまぼこに仕上がっています。
では、「昆布巻」とは何でしょう。昆布巻は赤巻の赤い部分を昆布に替えたものです。その昔、北前船の寄港地だった富山県では、北海道から運ばれた昆布を使った料理が多く作られました。現在も富山県の昆布消費量は全国屈指で、おぼろ昆布おにぎりや昆布〆、昆布だしを使った料理は、この地方の食文化を代表するものになっています。そんな昆布がかまぼこと合体してできたのが「昆布巻」です。食べ方は一般的なかまぼこと同じですが、昆布の味はもちろん、特有のぬめりによる食感も楽しめます。
さて、「細工かまぼこ」とは。代表的な細工かまぼこは、鯛をかたどったかまぼこです。鯛のほかにも鶴や亀の縁起物をかたどったり、お祝いの文字を書いたりしたものなどがあります。富山県では、誕生、入学、卒業、還暦など、人生の節目のお祝いに細工かまぼこを使います。特に婚礼では、長さ20~40㎝にもなる鯛の細工かまぼこが引き出物として贈られます。贈られたかまぼこは、お福分けに切り分けてご近所に配る習慣があります。細工かまぼこは職人さんがひとつひとつ手作りしています。鯛は一番難しく、長年修行を積み重ねた職人さんの技術の結晶だそうです。あるかまぼこ店の店員さんは、鯛の表情を見ることでそれを作った社長の機嫌の良し悪しを知るのだとか。
富山県にはたくさんのかまぼこ店があり、工場見学や細工かまぼこ作り体験のできるところもあります。かまぼこの美味しさと職人さんの技術に驚かされることはもちろん、ぜひ自分だけの細工かまぼこを作りに来てみてください。

(加藤明子)

赤巻と昆布巻。

赤巻と昆布巻。

鯛のほかにイチゴやハートなど。金魚は7月限定で、季節ごとの細工も見どころです。

鯛のほかにイチゴやハートなど。金魚は7月限定で、季節ごとの細工も見どころです。