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アネモメトリ -風の手帖-

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#39

ゆかる日まさる日 さんしんの日
― 沖縄県中頭郡

伝説では楽器の三線(さんしん)は、 赤犬子(あかいんこ)という人物によって琉球王国時代に発明されたことになっています。彼の生誕地、沖縄本島中部にある読谷村(よみたんそん)のホールでは、 34「さんしんの日」に 「ゆかる日まさる日 さんしんの日」と呼ばれるイベントが行われます。
「ゆかる日」は、佳かる日・佳日、つまり縁起のいい日・めでたい日の意味、「まさる日」は優る日・勝る日といった意味です。地元放送局が始めたこのイベント、今年で25回目を迎えました。
3部構成でのべ2000人以上の観客を集め、県外からの観覧者も多く見られます。昼の12時から夜9時まで、琉球古典音楽、沖縄民謡、ポピュラーミュージックなど、さまざまなジャンルの出演者がステージに登場し、三線の魅力を伝えます。
この日に合わせ、三線教室や愛好者グループも自身の演奏会を開催するようになり、いくつかはその様子がメイン会場に中継されます。今年は沖縄県内18ヶ所、県外9ヶ所、そしてハワイ、インド、アメリカ、ロンドンから中継が行われました。
このイベントの最大の特徴は、毎正時に行われる斉奏です。このとき演奏される「かぎやで風節」は披露宴など、めでたい席で必ず演奏される曲です。三線を始めた人は流派ジャンルを問わず必ず学習するので、もっともなじみ深い三線の曲といえます。
読谷村のメイン会場では時報の音と同時に、出演者と三線を持参した観客が一斉に演奏し始めます。その様子はラジオとインターネットでも同時配信されていますので、三線ゆかりの地を中心に県内県外世界中の三線愛好家が一斉に同じ曲を奏でます。
このイベントの考案者である元琉球放送ラジオ局長の上原直彦氏は、そこに遊び心と壮大なロマンがあると語っています。(1)
「ゆかる日まさる日 さんしんの日」は地域を超え、三線の魅力を確認するイベントになっています。

(儀間勝)

(1)
琉球放送Webサイト さんしんの日とは
http://www.rbc.co.jp/34day/about.html

2017年さんしんの日ポスター。

2017年さんしんの日ポスター。

「赤犬子こどもクラブ」の演奏風景。

「赤犬子こどもクラブ」の演奏風景。