「ZINE(ジン)」とは、個人や小さなグループが、企画・編集・制作・発行までを自分たちで行う、小規模な自主出版物のこと。
「ZINEは自由な表現ツール」だと語るのは、ZINEの即売会「新ZINE類(しんじんるい)」を仲間と運営する、こなかきえさん。松江にZINE文化を根付かせたいという思いを抱いています。
グラフィックデザイナーのこなかさんは、島根県松江市にUターンした5年前、表現したいものを発信する場がなく、もどかしさを感じていました。想いに共感した地元のイラストレーター、松江にある個人書店「書架 青と緑」の店主らと4人で立ち上げたのが「新ZINE類」(現在は運営6人、撮影協力2人)です。「新しくZINEを手にした者」を意味するネーミングと可愛いキャラクターにセンスが光ります。

2025年開催の「新ZINE類」会場風景。この日の出品者は約40人、来場者は150人を超えた

素敵な雰囲気の会場は、松江城山公園内の興雲閣

ZINEを介して自然に会話が生まれる
「新ZINE類」は2024年、2025年の開催に続いて、次回は2027年4月25日を予定しています(註)。開催に向けて「ZINEつくらぶ」というクラブが発足したと聞き、筆者も活動に参加しました。
「ZINEつくらぶ」はその名の通り、ZINEを「つくる」クラブ活動をイメージしたネーミング。ZINEを作ってみたい人や、ZINEについて情報交換をしたい人など、現在24人の部員で活動しています。

「ZINEつくらぶ」第2回の様子。1枚の紙でZINEを作ってみます

様々なZINEを手に取ってみる。「どんなZINEが作りたい?」話すうちにアイデアが生まれることも
3回目の内容は、「いろんな紙を綴じてみる」。配色や厚みを考えながら、ミシンや手縫い、ホッチキスなどで紙を綴じて、好みのノートを手作りしました。

「ZINEつくらぶ」3回目のテーマは「いろんな紙を綴じてみる」ずらりと並べられた紙と道具類

左:筆者の作ったノート。表紙はコラージュ。厚みのある表紙はミシンで綴じ、ホッチキス綴じのノート部分と麻紐で結んだ
右:部員が作った個性あふれるノート
「ZINEつくらぶ」第1期の活動は2027年4月まで毎月1回、計10回続きます。制作作業のほか、リソグラフ印刷の体験や、中間発表も予定しています。また、運営メンバーが専門性を生かして相談にも応じます。活動時間の終了後は各テーブルで会話が盛り上がり、既にZINEコミュニティの萌芽が見られるように感じました。
「ZINEは自己表現のひとつ。絵が描けないと、短歌や詩が書けないと、上手くないと、など制限がかかっていると思うけれど、そうじゃない」「自分にとって価値のあるものの記録でいい。自由であってほしい」と、こなかさんは語ります。既成概念にとらわれがちな私にとって、表現の自由さと作り手の個性がZINEを作るうえで魅力になるという発想に驚きました。
こなかさんは、「新ZINE類」を始めるにあたり、以前から文化的な活動や場所、人のつながりが存在していた松江だからこそ開催できるという思いを持ち、活動を続ける中でその思いが強くなったそう。都会のコピーではない、松江ならではの活動にしたいという信念がみえます。
ZINEという新たなツールを手にすることで、人々の間にどんな化学反応が生まれ、松江のZINE文化が育まれていくのだろう? と、ワクワクしながら見守っています。
(註)
次回の募集案内、2026年11月22日に開催予定の「ミニ新ZINE類」など、最新情報はこちらを参照。
新ZINE類 Instagram:@shinzinerui
取材協力
チーム新ZINE類 こなかきえさん
写真
Hikaru Yada(Instagram:@wkmbqy)(1~3枚目)
チーム新ZINE類(4~6枚目)、その他は筆者撮影
(綾仁千鶴子)


