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アネモメトリ -風の手帖-

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#314

マンゴーが実るころ、カンボジアの街角で
― カンボジア全域

4月、カンボジアに一年で最も暑い季節がやってくるころ、街のあちこちで山積みのマンゴーを見かけるようになります。強い日差しの下で熟れたマンゴーが収穫できるこの季節を、人々は「ロダウ・スヴァーイ」(マンゴーの季節)と呼びます。

マンゴーは傷つかないよう、熟しきる前に収穫する。新聞紙に包んで常温で数日待てば追熟完了

マンゴーは傷つかないよう、熟しきる前に収穫する。新聞紙に包んで常温で数日待てば追熟完了。買うまでもなく、知人などから貰う機会も多い

日本では輸入や国産のマンゴーが安くない値段で売られていますが、カンボジアではどこにでもマンゴーの木があり、鈴なりに実っています。街中でも消費しきれないマンゴーが量り売りされているのです。値段は種類にもよりますが、1キロ1ドル(2026年4月のレートで160円程度)前後から買うことができます。マンゴーには多くの種類がありますが、多く出回っているのは、収穫時期が長く、安くて実が大きい品種。多く流通しているため、レストランやカフェなどで提供されるのも、同様の種類です。

歯ごたえと爽やかな酸味を楽しむ青いマンゴー。千切りにしたマンゴーのサラダもおいしい

歯ごたえと爽やかな酸味を楽しむ青いマンゴー、「スヴァーイ・クチャイ」。旬のおいしさは格別

青いマンゴーと干し魚のサラダはポピュラーなおかず。マンゴーの甘酸っぱさと干し魚の塩味がよく合う

青いマンゴーと干し魚のサラダはポピュラーなおかず。マンゴーの甘酸っぱさと干し魚の塩味がよく合う

カンボジア人たちは、「甘いマンゴーはつまらない」と、未熟な青い実を好んで食べる人が多いです。塩と唐辛子に砂糖と化学調味料を混ぜた「オンバル・マテ」をつけて、オフィスでも自宅でも、気軽につまめるおやつとして人気があります。固く歯ごたえのある果肉に塩と唐辛子の刺激が加わると、果物というより軽いスナック感覚で楽しめます。あるいは、ピクルスのような漬物やサラダも好まれています。甘さだけでなく、辛さや酸味を楽しむ味覚に、カンボジアの食文化らしさを感じます。

パエン・スヴァーイは家庭で作られる保存食。常温でもいいが、冷蔵庫ならさらに長期保存が可能

パエン・スヴァーイは家庭で作られる保存食。常温でもいいが、冷蔵庫ならさらに長期保存が可能

たくさん穫れたマンゴーは、加工して保存します。「パエン・スヴァーイ」は、煮詰めたマンゴーをシート状に広げて乾燥させたもの。道路脇などで乾燥させている様子を見ることができます。
マンゴーは食べるだけではなく、季節そのものにも深く結びついています。たとえば、乾季に降る季節外れの雨は、カンボジアでは「プリアン・コッ・プカー・スヴァーイ」、外国人の間ではマンゴーシャワーとも呼ばれ、この雨がマンゴーを育て、ますます甘くすると言われています。こうした季節の言葉の多さからも、マンゴーが人々にとって身近な果物であることがうかがえます。

(三浦まり子)