大阪を南北に貫く大動脈のOsaka Metro(地下鉄)御堂筋線の北端は江坂駅です。江坂駅から北に延びる路線は、北大阪急行電鉄が運営し相互直通運転を行っています。
北大阪急行電鉄は、千里中央駅が終着駅でしたが、2024年3月23日に千里中央駅↔箕面船場阪大前駅(みのおせんばはんだいまええき)↔箕面萱野駅(みのおかやのえき)区間の2.5キロが延伸され、2つの新駅が誕生しました。
終着駅だった千里中央駅に隣接している大規模商業施設「セルシー」「大丸ピーコック」等は耐震問題等もあり次々に閉鎖し、千里阪急ホテルも2025年には閉館する予定となっています。
新駅沿線では、箕面阪大船場駅近くに大規模小売店が開業し、近隣の小規模スーパーは閉店、空き店舗には大手薬局チェーンが入りました。
この箕面船場阪大前駅界隈は、1970年代に大阪市中央区船場の繊維問屋が移転した「新船場」と呼ばれる地域です。2021年には、大阪大学外国語学部や劇場、図書館も移転してきました。
北大阪急行電鉄広報によると、箕面船場阪大前駅の駅舎は「繊維の街」と「新しい街」をイメージして作られています。トイレの壁は繊維の織り柄をイメージしており、ホーム等も膜天井で仕上げるなど「街を駅で表現」しているそうです。時間をかけて駅舎の造作を鑑賞することも楽しいのではないでしょうか。
新駅の終点、箕面萱野駅界隈には商業施設と田園地帯があります。休日には、この箕面萱野駅に隣接する大規模ショッピングモールは多くの人出で賑わっています。千里中央駅界隈の閉店した大規模商業施設等とは対照的な風景です。
新駅区間は高架を走るため強風の影響を受け、開通してまもなく御堂筋線全線が30分にわたり運休するといったことも起きましたが、今後何らかの改善策がとられるのではないでしょうか。いろいろな課題を解決しながら、箕面萱野駅と箕面阪大船場駅界隈は、新駅を中心に大学や公共施設等と共に時を刻むことでしょう。新しい街の発展と、50年間北摂地域の拠点だった千里中央が今後どのように生まれ変わるのか、街の栄枯盛衰を見守っていきたいと思います。
参考
一般社団法人日本地下鉄協会「Osaka Metro」、http://www.jametro.or.jp/japan/osaka.html(2024年4月6日閲覧)。
北大阪急行電鉄、https://www.kita-kyu.co.jp/enshin/index2.html(2024年4月6日閲覧)。
今回取り上げた路線は「北大阪急行電鉄南北線」です。しかし路線は南北線のみです。地元では「北急(きたきゅう)」と呼ばれています。延伸イベントのひとつとして2024年3月23日~5月12日まで北大阪急行電鉄の新キャラクター「北鳩家族(きたきゅうふぁみりー)」のネーミング募集をしていました。
YouTube「【祝開業!】半世紀の時を経て待望の北急延伸開業!新駅の魅力を徹底紹介【箕面船場阪大前駅・箕面萱野駅】」、https://www.youtube.com/watch?v=NM4T9HuGOY8(2024年4月6日閲覧)。
産経ニュース「トイレットペーパー買い占めはこの店から始まった」、
https://www.sankei.com/article/20230226-5DDFNN3OMZJONNSH6IPK4K4L5E/(2024年4月6日閲覧)。
文中に記載した、53年の営業を終えた「大丸ピーコック」についての記事が書かれています。2023年2月26日の記事です。2024年4月現在、取り壊し工事が進んでいます。その工事現場を懐かしそうに見る高齢者が後をたちません。何度か名前が変わりましたが地元では「大丸ピーコック」と呼ばれ続けていました。最後は「オトカリテ千里中央、ピーコックストア千里中央店」という名称でした。
阪急阪神第一ホテルグループ「大阪新阪急ホテル営業終了のお知らせ」、https://www.hankyu-hotel.com/hotel/hh/osakashh/topics/2023/20231031_hotel_close_notice(2024年4月6日閲覧)。
(中野聡史)