アートとともにひと、もの、風土の新しいかたちをさぐる

アネモメトリ -風の手帖-

特集 地域や風土のすがたを見直す、芸術の最前線

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#94
2021.03

文化を継ぎ、培うということ

2 身の丈の関係性 手のひらのものづくり 京都・祇園町

祇園にオープンした私設美術館ZENBI -鍵善良房- KAGIZEN ART MUSEUM( 以下、 ZENBI ) 。老舗の菓子店・鍵善が、ゆかりの深い木工作家・黒田辰秋の作品を収蔵、展示することを中心に運営する施設だ。オープニング企画は「黒田辰秋と鍵善良房 結ばれた美への約束」。鍵善の持つコレクションをすべて公開する初めての機会でもある。今後は、かかわりのある現代の工芸作家なども扱っていく予定だ。
この美術館らしいのは、300年ほど商いを続けてきた祇園の文化を伝え、まちに還元しようという、まちに寄り添う姿勢だ。まちと人とのつながりを大切にしながら、ZENBIもともに成長することで、まちが息づいていくようなイメージである。

ZENBIにはミュージアムショップが併設されている。「Zplus(ジープラス)」にゆったりと置かれているものたちは、いわゆるミュージアムグッズとはすこし異なっている。
ひとことで言うなら、「この店ならでは、京都ならではのものづくり」となるだろうか。「手のひらにのる」と「関係性」をキーワードに、Zplusを、さらにZENBIを見ていきたい。

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葉をかたどった栞は「染司よしおか」と制作。平安時代の手法を現代によみがえらせた植物染めで、糸から染めてある。なかに入れた民芸和紙との色の重なりも美しい