2)ふれあい朝市 「大原野菜」に出会う場
大原では毎週日曜日、「大原ふれあい朝市」と呼ばれる朝市が行われている。
スタートは午前6時。朝の大原は、山々に白くぼんやりとした霧がかかり、幻想的だ。大原の人々はこの霧を「小野霞(おのがすみ)」と、誇らしげに呼ぶ。寒暖差が大きい盆地ならではの現象で、この霧がもたらす朝露が、野菜たちに水分を与え、畑全体の温度を下げて、甘みを蓄えた美味しい野菜を育むのだそうだ。
大原ふれあい朝市に出店しているのは20軒ほど。出店者は、大原または近郊の静原などに農地を持つ農家がメインで、お年寄りから移住者、農業に足を踏み入れたばかりの若者までさまざまだ。決して規模が大きいとはいえないが、野菜の他にも、鯖寿司やしば漬け、餅、お弁当などの加工品などが並び、うどんやおやきの屋台もあって、なかなか楽しめる。
早朝スタートにも関わらず、早い時間であるほど賑わっている。オープンの6時前からフライングで買い物を始めるひともいて、7時前には、売り切れてしまうものも多いようだ。9時には直売所「里の駅 大原」の旬菜市場がオープンするので、その前くらいからまたひとが増えてくる。
訪れるひとの年齢層も、若い夫婦からお年寄りまで、幅広い。人々の目的は、新鮮な野菜や手づくりの惣菜を手に入れることはもちろん、家族の早起きの理由に、観光に、サイクリングの休憩にと、いろいろある。
単価の高いレストランの料理人や、オーガニック志向の八百屋など、プロの客も多く訪れる。世界を舞台に活躍するフードアーティストや、いま人気のYouTuberといった有名人も。彼らはここで、農家の方と会話しながら、野菜にまつわるストーリーまで仕入れていく。