アートとともにひと、もの、風土の新しいかたちをさぐる

アネモメトリ -風の手帖-

特集 地域や風土のすがたを見直す、芸術の最前線

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#70
2019.03

スローファッション新世代

後編 ファッション編

今回の取材を通して「ポスト3・11」というキーワードが浮かぶようになった。
スローファッションの成立に影響したひとつの要因は東日本大震災だ。あの震災は従来の社会のありかたへの疑問をつきつけたが、特に今回話を聞いた20代後半~30代前半の若い世代は、自分の生き方を探るもっとも多感な時期にこの出来事と出会ったことになる。たとえば、近年の日本映画のなかに震災を経験することによって生まれてきた感情や表現を込めた作品が生まれているが、ファッションでも同じではないか。
震災直後、ファッション界では服を自作するつくり手たちが注目された。量産が前提のファッションデザインの世界に、戦後の洋裁時代のような手づくりが再評価されるという、逆説的な事態が生じたのだ。
若者はなぜ手づくりという手法を選ぶのか。この時代にハンドメイドの服をつくって生活できるものなのか。後編のファッション編では、2人の手づくり派デザイナーの話を聞いてみた。

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ブランド「iai」の居相大輝さんは京都府福知山市大江町にアトリエを構え、自給自足で暮らしながら服づくりをしている/東京都墨田区に拠点を置く「osakentaro」の長賢太郎さんは、そのときの感覚を大切に即興的に服をつくり出す

ブランド「iai」の居相大輝さんは京都府福知山市大江町にアトリエを構え、自給自足で暮らしながら服づくりをしている / 東京都墨田区に拠点を置く「osakentaro」の長賢太郎さんは、そのときの感覚を大切に即興的に服をつくり出す