これまで太田市美術館・図書館、都城市立図書館と、先進的な取り組みをする図書館を訪れた連載の最後にあたる取材先がなぜ「ブックセンター」なのか。八戸ブックセンターを候補として編集部から指定された際には、思わず首を傾げてしまった。「センター」という曖昧な名称ではあるが、そこは図書館ではなくれっきとした書店である。しかも八戸市が管理する公営の書店だという。
そこであらたな疑問符が次々と浮かぶ。市営の書店? 運営費や売上はどこから捻出されて、どこへ行くのだろう。そもそもなぜ市が書店を営業する必要があるのか。なぜ図書館ではなかったのだろうか。誰が本を選び、どのようにして仕入れているのか。そもそも誰がこのような施設を求めたのだろう。
伊丹空港より、機内から紅葉に色づく奥羽山脈を見下ろしながら約2時間。三沢空港よりバスに揺られて1時間。古く味わい深い佇まいの居酒屋や、屋台が連なる横丁を横目に、八戸ブックセンターを訪れた。
風信帖