前編の4月号では、映画×本×カフェが複合した出町座の開業にいたるまでのいきさつを映画部門担当の田中誠一さんと、書店部門担当の宮迫憲彦さんのお話をうかがった。浮かんできたのは、出町座というカタチになるまでの、2人の映画や本に対する想いの強さと、それらを取り巻く状況に対する危機感であった。今、まちから個人経営の映画館や書店が次々と消え、「まちへ映画をみに行く」「本屋さんで本を選ぶ」という経験そのものも失われようとしている。その経験のなかにこそ、「文化」といわれるものがあるのではないか。その経験をまちなかに取り戻し、多くの人びとと分かち合う場を自分たちでつくっていきたい……そうした想いを持って、出町座開業のために彼らはクラウドファンディングという手段を選ぶ。それは単純な資金調達のための手段ではなかった。
空を描く